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お父さんとは全然らしいが、お母さんは週に一度はここに来ているらしい。
俺だって2週間に一回ぐらいのペースでここに来てるけど全然鉢合わせしない。
Aちゃんの家にも俺の物を置いているんだけど、彼氏いる?とさえ訊かれないらしい。
こうなりゃいっそのことこっちに住み着いてしまおうかと思うこともあるけど、それはちょっと待とうかと冷静な自分がストップをかけている。
大体のことは水に流せる自分だけど、Aちゃんの家族に関してはずっとモヤモヤしてる。
いつか言ってやりたいと思ってるのに機会がない。
でもまあ最終段階の時でもいいかと思ってる。
「でも私には先生と友達がいますから。かんなたちから愛のあるメッセージをもらいましたし、現に今先生からたくさん甘やかしてもらってますから」
この子は本当に良い子。
こんな良い子が隣にいる今が本当にありがたいことと思いながら彼女の頭を撫でた。
翌朝は朝の6時に揃って起きた。
準備をし終えて昨日から近くの駐車場に置いていた車で出発する。
ハンドルは二人で交代しながら握る。
Aちゃんは運転技術が高い気がするから俺なんて軽々と超えちゃってる。
行先は静岡、もっと言えば伊豆の方。
海から山も楽しめる旅にしようと思ってる。
沙良さんがお勧めしてくれたんですよと美月ちゃんがかけてくれた男性アイドルグループの曲をBGMにドライブ。
今ぐらいの時期になると朝は涼しいので窓を開ける。
Aちゃんの髪が風で靡く。
助手席に乗っている彼女を見ると思い出すのは想いを告げた日のこと。
いつの間にか眠っていた彼女を見て触れたくなって、まだいかんと思って、せめてと思って写真は撮ったんだっけ。
学校の、特にあの国語科準備室だけだった世界が、あの日を境に一気に広がって、俺の記憶の中に君とのページが増えていく。
幸せの定義が人それぞれ、と俺は度々言ってしまっているが、俺の幸せは間違いなくAちゃんにある。
だから……また俺は不安を覚えてしまう。
合間に大きなサービスエリアで休憩して少し遅めの朝ご飯。
食堂の朝定食を食べる。
「俺、サービスエリア好きなんだよね」
「わくわくしますよね」
「うん。こういう大きいところだと本当に色々なものが集ってるって感じがして。たとえ出張でも旅行でも楽しくなれちゃう」
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年2月23日 15時