Baby blue eyes〈M〉 ページ3
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Baby blue eyes
ネモフィラの英名。
ムラサキ科ネモフィラ属。
和名に瑠璃唐草。
花言葉は「どこでも成功」「可憐」「あなたを許す」。
あれは日が暮れてもまだまだ暑かった夏の夜のことだった。
あの日は地方に配属されていた地元の友達がこっちに帰ってきていて、じゃあ一緒に飲もうと俺の住んでいる街の繁華街で飲んでその帰り、教師の性で未成年っぽい子がいないかと見回っていた。
「宮っち今彼女は?」
歩いていてふと脳裏に響いたのは友の声。
俺はあっさりといないと答えた。
教師になってこの当時で4年目。
去年からクラス担任をするようになって、毎日授業のこととかその他の業務で忙しく、そっち方面の気持ちが湧かないでいた。
2年目の途中までは大学生時代から付き合っていた彼女はいたが、彼女も別の学校の教員で忙しく、俺も俺でという状況でどちらかともかく別れてしまった。
別に彼女がいなくても日々の仕事と楽しい先輩たちとの毎日で俺は満足していた。
3年前の夏、俺は確実にこういう状況だった。
繁華街を歩き回って大丈夫そうだなと思ったのも束の間、とある1組の男女がふと目に留まった。
男が女性に茶封筒を渡し、手を振ってその場を去っていく。
場所柄もあるし所謂パパ活?なんて思ってたら茶封筒をバッグに入れた女性と目が合った。
「…………」
俺は心底びっくりした。
その女性はいつもより派手なメイクをし、いつもより派手な服装だったけれど、自分のクラスの生徒、一ノ瀬Aだったからだ。
認識してすぐ俺は彼女に近寄った。
「えっと……一ノ瀬さんだよね?」
彼女は俺をキッと睨み、溜め息もついた。
「そうですけど……。宮田先生はどうしてここに?」
「俺は……友達と飲んだ帰りに未成年っぽい子はいないかなって見回ってて……」
「教師の鑑ですね」
実に嫌味ったらしく言うから当時の俺はすっかり弱ってしまった。
だから何をしてたのかとかそれはよろしくないことだとか問い質す気にはなれなかった。
「あの、一ノ瀬さん、今日はもう用事ない?」
「ないですけど」
まるでそれが何かと言いたげな目線でやっぱり困ってしまった。
「もう遅いからさ、家まで送るよ」
「……分かりました」
うんざりとした口調と表情でたじたじになってしまったけど、その時は無事に家まで送り届けた。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年2月23日 15時