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朝の光を感じて目を開けると目の前で俺の彼女がすやすやと眠っていた。
「…………」
昨夜のこと夢じゃないよね?と自分の身体を確認したってしょうがないから、少しAちゃんの髪を除けて首筋を確認する。
自分の記憶は正しかった。
跡が軽く残ってしまった。
感想ですか?
それはもうねえ。
思い出すだけでも口角が上がってしまう。
とにもかくにもAちゃんは可愛かった。
抱いてみて思ったことは、好きじゃ絶対足りなくて、大好きでもやっぱり足りなくて。
となるともう。
「愛しかないじゃん」
愛してるって言葉は個人的に究極な気がして、自分には縁遠いものだと思ってたのに。
「……ん」
Aちゃんの目がピクリと動き始める。
えっ?ちゃん付けが戻ってる?
呼び捨ては調子に乗らないとできません。
「Aちゃん、おはよう」
彼女の目が一回開いて閉じて、また開く。
「……おはようございます」
彼女は顔を布団で隠した。
「身体大丈夫、かな?」
「今のところは……」
Aちゃんの顔が見たいのに布団を剥がしてくれない。
「Aちゃん?」
「だって、先生が」
「俺が?」
「……俊哉さんがかっこ良すぎるんだもん」
本当にこの子は俺をものすごく良く捉えてくれる。
「それを言うAちゃんが可愛すぎるでしょ」
申し訳ないけど布団を剥がす。
この子はどこまでも可愛いんだから。
「Aちゃん」
「はい……」
「愛してるよ」
「…………」
「だって好きじゃ絶対足りなくて、大好きでもやっぱり足りなくて、だったらもうそれしかないよなって」
「……俊哉さん」
「ん?」
するとAちゃんが抱きついてきたから抱きしめる。
「……こんなに愛をもらったら俊哉さんから離れられません」
「離れる気だったの?」
「もちろんそんな気はありません。言葉の綾ですけど……俊哉さんが私から離れることだってあるかもしれないじゃないですか」
俺はつい笑みが零れた。
Aちゃんは首を傾けた。
「俺だって常々思ってるよ。Aちゃんを誰かに奪われるんじゃないかって。だってAちゃんは俺より若くて素敵な子だから」
「それを言うなら俊哉さんだって素敵だし……」
またどっちもどっちな会話。
そういうキャッチボールがもう愛おしい。
だから俺は彼女にキスをする。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年2月23日 15時