Hedera (ページ41)

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「高嗣くん……」

「何？」

「私たちこうして会うのはもう止そう？」

「えっ」

一瞬時が止まったような気がした。

「こないだ高嗣くんと出かけたじゃない？その時から夫の束縛が凄くて……。高嗣くんにも害が及ぶかもしれないから……」

「…………」

俺だったら泣かせないのに。
また言葉を飲み込む。

「何なんだよ」

「……高嗣くん」

だけど別の言葉が出てくる。

「普段寂しい気持ちにさせといて、俺がAちゃんに近づいたら束縛すんの？身勝手だろ」

Aちゃんは全てを語ってくれないけど、察するものは多くある。
きっと普段あいつはAちゃんのことを粗末に扱っている。
それでも余所見は許さない。
本当に何なんだよ。

「高嗣くん。もういいから」

「良くないって」

「私は大丈夫だから。……ありがとう」

「待って、Aちゃん」

俺が止めるのを聞かず、Aちゃんはまた俺の前から去ってしまった。

「…………」

外は相変わらず雨が降って、時折吹き込んで俺を濡らす。

俺はまたショックで立ち尽くしてしまって動けなかった。
次の電車が俺の前を通り過ぎた。

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