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「Aちゃん運転できるんだ。知らなかった」
「結婚する前に取ってたの」
「この車は自分の?」
「名義は旦那さんだけど、使ってるのは私。旦那さんは旦那さんのがある」
車2台持ちの家庭。
裕福具合が分かる。
「高嗣くん免許は?」
「まだ。もうすぐ取れると思うんだけど」
「頑張って」
「友達と一緒に免許を取って夏に旅行しようって決めてるんだよね」
「それって素敵」
それから俺は大事な仲間たちの話をした。
まずは中学で千賀、高1の時にタマと出会ったことを話し。
「高2の時に同じクラスになった女子3人と仲良くなって、そこからは6人で行動することになって。卒業して皆進路がバラバラになっても仲良くしてる」
「そういう人達は財産だよ。大切にしないと」
「もちろん」
「私はいなくなっちゃったな……」
運転しながら話す横顔は寂しそうだった。
「私皆よりだいぶ早く結婚しちゃったでしょ。それに就職もしてないから青春時代を過ごした子たちとは色々合わなくなって」
「これから出会うかもしれないよ」
「これから?」
人と人との出会いは偶然のようで必然だと思う。
自分にとって大事な人は絶対どこかで出会うはずだと思ってる。
俺の場合は高2で確定したけど。
「うん。Aちゃんはこの春から働きに出てるんだし、どこかで誰かと交流し続ければ一生の出会いがあるかもよ」
「確かに働きに出てから色々な人と話すから刺激になるよね。家にいると旦那かご近所さんかに留まるもんな。それに高嗣くんとまたこうして話せるようになったもんね」
「そうそう」
Aちゃんの言葉がいちいち俺の心をくすぐる。
今は弟だからそんなこと表に出せないけど。
道の駅には1時間半ぐらいで着いた。
週末だから人が多い。
「俺がカート持つからAちゃんは身軽に欲しい物に進んで」
「ありがとう。助かる」
カートにかごを2つ乗せてAちゃんの後ろについた。
Aちゃんは目につく野菜をどんどんかごに入れていく。
キャベツとかレタスはボリュームがあって美味しそうだった。
買い物は10分ぐらいで終わった。
かご2つ分の食材が手際良く会計されていく。
カゴ2つ分の食材はエコバッグ3つ分になった。
入れ方が分からなかったからAちゃんに教えてもらった。
荷物は全部俺が車まで持っていって後部座席に置いた。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2022年9月25日 10時