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「その差っていつから自然になる?俺が40のとき文乃は30……まだ差を感じる」
「50代になったときじゃない?彼女たちは40代になって」
「そこまでいったら年は気にならなくなりそう」
「今の日本人の平均寿命は男は約81歳で、女の人は約87歳だったっけな……」
残すのも残されるのも嫌だから丁度良いかもなんて考えてたらキタヤンがサムギョプサルを網に乗せながら。
「宮田それは飛躍しすぎよ」
「そうかなあ。一緒のお墓に入るまで考えてるし」
「お前って思い切りが良いんだか何だか」
皆もサラリと彼女たちとの未来考えてるじゃんねなんて思いながらビールを飲んでいたら、横尾さんが。
「そろそろ本題に入らない?」
「これ本題じゃないの?」
「どっちかというと副題じゃね?一般的によろしくないと判断される恋愛の立場に置かれてる俺たちの状況説明というか」
確かにと思いながら俺はジョッキを置いた。
まだ俺ちゃんと説明してない。
「というわけで宮っち」
「また美月ちゃん周りで恋のお節介することになるかな」
「でもそれがよろしくない恋愛?」
「そう。でも俺たちのような教師と生徒の禁断じゃなくて、お相手は既婚者。美月ちゃんは応援したいけど心から応援できないという状況になって、俺に話を持ってきた」
「一ノ瀬さんが仲良いといったら……」
「今度はニカ、二階堂高嗣のお話」
ニカの高校時代の頃を少し思い出す。
あの男子3人だとタマは進みたい道が決まってて目が輝いてて、千ちゃんは本当にこの道でいいのかと少し不安げな目をしていて、ニカは何も考えられなくて、目が曇っていた。
だから色々なものを見ておいでと今の学部を勧めたのだけれど。
もしかしたら美月ちゃんが変わった今、一番不安定なのはニカなのかもしれない。
「そりゃ一ノ瀬さんは心から応援できないよね。お相手が既婚者なら」
「俺もそう思ってて。幸せの定義は人それぞれでしょ。たとえ破滅の道でもそれがその人の幸せならと思うけど、本当に破滅したら駄目じゃん。その人が自分の大切な人なら当然引き止める」
「だけど恋愛感情はどうにもならないじゃん?むやみやたらに反対したら燃え上がる」
「そうなんだよね」
うーんと皆黙って手が止まる。
いやキタヤンだけはトングを動かしている。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2022年9月25日 10時