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「今更だけど今日泊まる?」
「はい。そうさせて下さい」
何度か先生の家で寝泊まりしたことがある。
でも本当に寝泊りだけ。
だって先生は思ったより頑固だから。
「じゃあ、美月ちゃんが今抱えてるものを俺にも半分背負わせて」
「はい……」
私はニカのことを先生に伝える。
応援するのも、破滅を防ぐのも、どちらも愛情。
だからどうしたらいいのか本当に分からないのだ。
「確かに皆応援してくれたのは本当に奇跡だよね。教師の俺と生徒の美月ちゃんの状態では禁断だったから快く思わない人がいてもおかしくなかった」
「そうですね」
その点において私たちは本当に恵まれている。
色々な人が応援してくれたから今に至る。
「まあ俺たちの場合は、教師と生徒の線をすごく意識して自制してたからね」
「でも時々歪みそうになったり誰かに怪しまれたりしましたよね」
「線は意識してても美月ちゃんのこと特別扱いしちゃってたもんなあ」
「私もあんなに準備室に通えば目つけられますよねえ」
話が過去のことになっていく。
互いに想いがあっただけについ境界線を気にしていた。
私たちの恋は学校を卒業することにより解放され今に至る。
だけどニカの場合はお相手の状況次第で一生苦しむことになる。
大事な友達のそんな姿は見たくない。
「ニカの好きな人の情報があまりないんですよ。千ちゃんなら知ってるかな」
「俺も考えてみるよ。美月ちゃんの荷物俺も持つから」
「ありがとうございます」
どこまでも私のことを考えてくれる宮田先生のおかげで私の心はまた解れていった。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2022年9月25日 10時