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俺は千ちゃんに連絡を取って次の日に会うことになった。
先にニカの初恋が再燃していることは告げておいて。
場所は千ちゃんの家だった。
二人にしては広すぎる応接室に通された。
ここ皆で宮っちを囲んだ部屋じゃん。
「ごめんね。俺この後家の用事で出かけなくちゃならないから家に来てもらって」
「こっちこそごめん。この後予定あるのに合わせてもらっちゃって。ちなみに用事って?」
「母親と一緒にお偉いさん方との会食」
千ちゃんの家はお父さんもお母さんも事業をやっていて、千ちゃんはお母さんのやっている分野に興味があるらしい。
大学生の間はお母さんの所で勉強する予定で、そのため俺たちと予定が合わないことがある。
千賀家のスケールに舌を巻いていたら千ちゃんはポツリと。
「まあニカのためだから」
「……そういえば二人の中学時代ってあまり知らないような」
俺が二人に出会ったのは高1。
既にニカ千は仲が良かったけど、二人が良い奴だからスッと入れた。
だけど二人からあまり過去のことを聞かなかった気がした。
「中学時代はニカにとって黒歴史だろうから。あんまり俺が茶化すのもなって」
「グレてたの?千ちゃんも?」
「俺は違うよ。悪い方向に行くのはこの家が許さないでしょ。でもニカは行っちゃった。タマの所にもいなかった?悪いことしてる人たち」
「いた、かな」
親に対しては人並みに反抗期はあったけど、あとは普通だった気がする俺。
確かに周囲の人に対しても反抗する奴はクラスに1人や2人はいた。
「ニカ、生き急いでたのかな。根はあんな良い奴なのに悪いことしちゃってさ。馬鹿だよね」
俺は千ちゃんが中学時代の話をする意味を考える。
ニカの初恋の話をそこに結び付けると……。
初恋の人が結婚したのはニカが中3の時……。
初恋の人は5歳年上……。
「……そりゃイキって悪いことしたくなるかも。あの頃の5歳上って結構上に感じるよね」
藍ちゃんは4学年上で、今は年の差は感じないけど、出会った頃はだいぶお姉さんに見えたもんな。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2022年9月25日 10時