検索窓
今日:12 hit、昨日:1 hit、合計:8,178 hit

14 ページ14





「どうしたの?」



俺の言葉に反応する代わりのように彼女はスマホを見た。
少し操作してるので俺はあさっての方を向いた。
そしてまるで何かに脅えるように周りを見た。



「高嗣くんありがとう。ここまででいいから」



「えっ?家もうすぐじゃん。ロビーまで送るよ」



「いいよいいよ。ここまで送ってくれただけでも嬉しいから」



「Aちゃんが濡れちゃうじゃん」



「走ればすぐだよ」



暖簾に腕押しのような会話にうんざりしてくる。
どうしてそんなに頑ななの?



「もしかして旦那さん早く帰ってきた?」



俺も千賀ほどじゃないけど、そういう推理はできるよ?



「えっと、うん……今日はフレックスで早めに行ってて……」



「俺と一緒にいるところを見られちゃ困るの?」



「…………」



Aちゃんはついに何も答えなくなった。



「……ねえ、Aちゃん。本当に旦那さんと上手くいってる?」



また俺は本音を零す。
どう見ても今のAちゃんは幸せって言えるの?



「私は……」



Aちゃんの言葉は若干震えていた。



「私は……上手くやっていきたいと思うよ。夫婦なんだし……」



それってつまり今は上手くいってないってことじゃん。



「……ありがとう高嗣くん。またね」



「……待って!」



俺が手を伸ばしたときには既にAちゃんは傘の外に出てしまっていた。



「…………」



Aちゃんはパタパタと去っていき角を曲がってしまった。
俺は啞然と立ち尽くしてしまった。
伸ばした腕が空しかった。



「…………」



傘に当たる雨音はさっきから増すばかりで他の音は聞こえない。



「……旦那さんじゃなくて、俺にしてよ」



俺の零れた本音も雨にかき消されれば良かったのに、間違いなく俺の耳に返ってきた―――。



15→←13



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
58人がお気に入り
設定タグ:二階堂高嗣 , Kis-My-Ft2 , キスマイ   
作品ジャンル:タレント
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユタカ2 | 作成日時:2022年9月25日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。