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修学旅行が終わって12月。
期末試験が控えてるため国語科準備室に入れず、なんだか面白くない。
今日の放課後はニカに頼まれて勉強を見ることになった。
一応クラスではトップクラスなのでよく5人の勉強を見ている。
古典の授業でやった範囲をまとめていたらニカが言った。
「そういやAさ、宮といるときのAの雰囲気柔らかいよな」
「そう?」
「だって修学旅行のときなんだか二人の世界に入ってたし」
「そんなことないよ」
本当に何も思ってないのにニカは何を言い出すんだろうと思っていたら。
「普段Aが俺たちのことどう思ってるか知らねえけど、あまり俺たちを舐めない方がいいぞ」
なんだか凄まれてしまった。
「舐めてないよ。一緒にいてくれてありがたいと思ってるよ」
「ならいいんだけど」
にしても自分が思うよりも周りは自分のことを見ているのかもしれないと思った。
だったら私も一歩踏み出してみるかと思った。
これも訓練の一つだろう。
「じゃあさ、いやところで?何で私と友達でいてくれるの?」
こう尋ねるとニカの手が完全に止まった。
「Aは自分何の魅力もありませんって顔に出てるもんなあ」
「そうだね」
本当にそう思ってる。
5人に比べたら私なんて地味じゃないか。
「事実私浮いてない?6人の中で」
「はあ?何言ってんの」
また凄まれた。
「お前が自分自身のことどう思ってるか分かんねえけど、Aは良い奴だから自信持てよ。惰性で友達やってるわけじゃないぞ。Aは可愛いし頭が良いし優しいじゃん」
「照れる……」
褒められ慣れてないから耳が熱い。
「たまにはAのことを褒める会が必要だな」
「やめて」
誰かに認められるとこんなにも温かいものなんだなと学べた。
一歩踏み出してみて良かったと思った。
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作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2021年7月6日 11時