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「一ノ瀬さん楽しんでる？」
「楽しんでますよ」
「それなら良かった」
するとニカから肩を小突かれて耳打ちされた。
「Aからも宮に何か言ってよ」
しょうがないなあと思いつつ。
「何か奢って下さいよ」
「一ノ瀬さんも言っちゃうかあ」
先生は頭をかいた。
北山先生が宮田先生の身体に肘を当てる。
「宮っちここは一肌脱いだら？」
ついには北山先生までこっち側になったので、宮田先生は完全に包囲されてしまった。
「……分かった。他の子には内緒だよ」
というわけで水族館のスーベニアショップに向かった。
といってもここでは記念に何かと思ってた程度なので、何を買おうか決められない。
自分の意志を積み重ねてみようと宮田先生と話していたのに。
「一ノ瀬さんこれ似合いそう」
背後から先生の声がして、振り向いている間に手の平に乗せられたのは。
「可愛い」
ジンベエザメの小さながま口だった。
「これが嫌だったら他のでも……」
「これがいいです」
私は先生に差し出す。
与えられたものを選ぶことだって自分の意志だろうと思って。
「はい。一ノ瀬さんの」
「ありがとうございます」
皆も好きなものを宮田先生に買ってもらえたようだ。
「宮っちありがとう」
「大事に使ってよ。自腹叩いて買ったんだから」
「宮っちお給料いくらもらってるの？」
「……ノーコメントで」
そんな話を耳にしながら私は先生からもらったものをバッグに入れた。
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作者名：ユタカ２ x他1人 | 作成日時：2021年7月6日 11時
