1 ページ1
・
9月1日。
今日から2学期が始まる。
私、一ノ瀬Aが2年4組の教室に入ると、友人たちがこっちを向いた。
「A、おはよう」
「おはよう」
先に来ていたのは長浜かんなと大沢文乃、千賀健永だった。
「2学期もよろしくね」
「よろしく」
私は机にバッグを置き、彼らの輪の中に入った。
「おはよう」
「おはよー」
最後にやって来たのは玉森裕太と二階堂高嗣。
この5人とは2年のクラス替えで一緒になり、文乃とは席が前後、千ちゃんとは一緒に学級委員をやってる縁から繋がって、今はこの5人と一緒にいることが多い。
正直な話、この5人は私の目にはキラキラと映り、私だけ浮いてないか?と思ったりする。
実際そんな陰口も聞いたし。
話題は夏休みの話になった。
5人とは7月と8月に一回会ってプールと花火大会で遊んだ。
となるとそれ以外の話。
祖父母の家に行ったとかバーベキューをしたとか旅行に行ったとかの話を聞いていたら。
「Aは俺らと会う以外何してた?」
ニカが訊いてきた。
「家で宿題してるかだらけてた」
「真面目だな」
全部は伝えなくても一部の本当のことを切り取って出せばそれが全部になるからね。
SHRの時間になり教室の前扉がガラッと開く。
担任の宮田俊哉先生だった。
教壇に立った宮田先生はトレードマークの笑みを浮かべて。
「皆久しぶり。夏休みは皆怪我なく元気に過ごせたみたいで一安心。2学期もよろしくね」
明瞭な聞き取りやすい声が教室に響く。
先生は今私たちに古典を教えてくれているが、説明が分かりやすいので古典の成績はおかげでいい。
始業式に行くまで少し待っててねということで待機時間が生まれる。
すかさずニカと千ちゃんが宮っちと声をかけた。
宮田先生はその親しみやすそうな雰囲気からあまり先生とは呼ばれてない。
私は先生呼びだけど。
楽しそうに話してるなと眺めていたら、隣の席のタマが私の前にカットインしてきた。
「宮っちがどうかした?」
「何でもないよ」
「そう?」
そうです、ただ眺めていただけです。
・
45人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2021年7月6日 11時