裕太ストーリー ３１ ページ31
努めて明るく…誰にも胸の内を悟られないように…私はいつも通りに仕事を進めた。
裕太には幸せになってほしい。
千香ちゃんにも。
２人はとてもお似合いだし、きっと素敵なカップルになると思う。
そう思っているのに、目の前で千香ちゃんを食事に誘う裕太を見た時は、胸をかきむしられるような思いだった。
自業自得。
私は自ら彼の手を離したんだ。
改めてもうあのキラキラした楽しかった日々には戻れないと知る。
「Aさん、どうしよう…私…」
裕太に誘われて泣きそうな顔で喜んでいる千香ちゃんに、
「良かったじゃん。これからうまくいくといいね」
と無理に笑顔を作った後、片づけを済ませ楽屋を後にした。
そのまま家に帰る気になれなくて、私は１人街を彷徨った。
行く当てもなく歩いていると、見覚えのあるカフェが目に入った。
それは昔、仕事帰りに裕太がホットチョコレートを買ってくれたお店だった。
１人店に足を踏み入れ、レジでホットチョコレートを注文する。
すぐに出てきた温かいカップを握り締め、店を出た。
凍えるような寒空の下、手の中だけが温かい。
「そう言えば何であの時ホットチョコレートだったんだろう…」
記憶をたどっていると、ある日の待ち時間を思い出した。
その頃はまだ裕太と打ち解けていなくて、２人で会話をすることはほとんどなかったから、その日も宮田さんや千賀さんも交えて４人で話をしていた。
そういえば話の流れで、私はホットチョコレートが好きだってことをチラッと話したんだ。
あの時裕太は会話にほとんど参加していなかったけど、きっとそれを覚えていてあの夜、私に飲ませようと買いに行ってくれたんだ。
マイペースでわがままで、自由奔放で飽きっぽくて、それでも人一倍優しくて強くて……
“大好きだった”
そう思ったらあとからあとから涙が込み上げてきた。
私は道行く人の視線も気にせずボロボロと涙をこぼしながら家路に着いた。
翌朝。
「げ、ひどい顔」
泣きすぎた私の顔は、目がひどく腫れている。
「こんな顔じゃ外に出られない…」
私はいつもより念入りにアイメイクを施した。
その甲斐あってか誰も目の腫れには気づかないようだった。
(この調子で何事もなかったかのように、ただ毎日を過ごしていけばいい)
そう思っていた。
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ふわり(プロフ) - 楽しみにしてます！ (2017年9月10日 9時) (
レス) id: af60c52efd (このIDを非表示/違反報告)
SaYaKa(プロフ) - ふわりさん» コメントありがとうございます。この先は、『裕太短編集』のほうで、短いお話を書いていく予定です。良ければそちらもご覧ください！ (2017年9月10日 0時) (レス) id: 3736ec2a42 (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - 続きは無いんですか？！楽しみにしてます！ (2017年9月10日 0時) (レス) id: af60c52efd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SaYaKa | 作成日時：2017年5月10日 0時
