裕太ストーリー 18 ページ18
「そっか。まぁ顔色もちょっと良くなったみたいだし、とりあえず安心した。でも、無理すんなよ?きつかったら遠慮なく言って。分かった?」
まるで子供に言い聞かせるように優しく言われて、私はちょっと笑ってしまったけど素直に「はい」とうなずいた。
「あ、それから…“玉森さん”は禁止ね!昨日も言ったでしょ。名前で呼ぶこと!」
ソファから立ち上がった玉森さんは、そう言い残してあっという間に楽屋から出て行ってしまった。
取り残された私はその後ろ姿をただただ見つめるしかなかった。
「Aちゃん!」
私たちの様子を見ていた宮田さんが、話しかけてきた。
「何か、Aちゃんと玉、いい感じだね。何かあった?」
仏様のようなニコニコスマイルでそう聞かれると、ごまかせずについつい喋ってしまう。
「実は昨日、私が体調崩したら、玉森さんが看病に来てくれて。いろいろ買ってきてくれたり、ホットチョコレート作ってくれたりして…」
「へぇ〜そうなんだ。いいなぁ〜俺も玉に看病してもらいたい〜!なんてね(笑) それよりもう体調は大丈夫なの?」
「うん、もうずいぶんよくなった。玉森さんのおかげかな」
「玉はホント優しいからね〜。憎まれ口叩いてても本当はすごく優しい。まぁ、本当に心を許した人にしかわがまま言ったり憎まれ口叩いたりしないんだけどね。Aちゃんには、完全に心許してるみたいだね。っていうか、Aちゃんのこと好きなんじゃないかな〜。普通何とも思ってない子の看病とかしないでしょ〜」
そう言うと、宮田さんの顔がより一層ニヤニヤしだした。
「ちょっと何言ってるんですか!そんなことあるわけないでしょ!たまたま仕事帰りにうちに寄ってくれて看病してくれただけですよ!宮っち、そんなこと言ってると玉森さんに怒られるよ」
「むふふ。たまたまね〜。いや、俺は好きだと思う!根拠はないけど。何となく!な〜んて玉に聞かれたら締め上げられそうだわ。俺がこんなこと言ったって玉には内緒ね」
ちょうど楽屋に戻ってきた玉森さんを見つけて、宮田さんはそそくさと私のそばを離れて行った。
その日はずっと宮田さんの言葉が頭から離れなかった。
『Aちゃんのこと好きなんじゃないかな〜。』
『俺は好きだと思う!根拠はないけど。何となく』
“そうだといいな”という思いと、“そんなはずない”って思いが交互に頭に浮かぶ。
それに私は、担当マネージャーなんだからそんな想いを抱いてはいけないとも思っていた。
238人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふわり(プロフ) - 楽しみにしてます! (2017年9月10日 9時) (レス) id: af60c52efd (このIDを非表示/違反報告)
SaYaKa(プロフ) - ふわりさん» コメントありがとうございます。この先は、『裕太短編集』のほうで、短いお話を書いていく予定です。良ければそちらもご覧ください! (2017年9月10日 0時) (レス) id: 3736ec2a42 (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - 続きは無いんですか?!楽しみにしてます! (2017年9月10日 0時) (レス) id: af60c52efd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:SaYaKa | 作成日時:2017年5月10日 0時