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裕太ストーリー 12 ページ12

アパートに向かう車内で、私たちは一言も会話をしなかった。
玉森さんは何だか怒っているように見えたし、私の熱も徐々に上がっているようで、頭がぼうっとしていたからだ。

しばらくして、私のアパートに到着すると、さっきまでスマホをいじっていた玉森さんが急に財布を出して支払いを始めた。

「あの、玉森さん、私払います・・・」

そう言ったけれど玉森さんはそれには答えず、支払いを済ませてしまう。
私の方のドアが開いたので、仕方なく降りると、玉森さんも一緒にタクシーを降りた。

訳が分からず、去って行くタクシーを見つめていると、玉森さんはずんずんアパートの方へ進んで行く。

小走りでその背中を追うと、突然目の前の景色がぐらりと揺れて、脚に力が入らなくなった。
(あ・・・倒れる・・・)とっさにそう思ったその時、体をしっかりと抱きかかえられた。

「玉森さん・・・」

「だから1人で帰せないって言ったんだよ。A、無理しすぎ」

そう言うと、私の体を支えながら歩いてくれた。

「部屋、どこ?」

「2階の201号です・・・」

「うん。階段、大丈夫?昇れる?」

「はい・・・」

さっきまでと全然違う優しい声で寄り添ってくれる。
私は玉森さんに支えられながら部屋の前にたどり着き、鍵をあけた。

「もう大丈夫です。本当にありがとうございました」

私がお礼を言うと、玉森さんは「ん」と言って右手を差し出してきた。

「あ、タクシー代・・・」

「そうじゃない。部屋の鍵!貸して」

「え?」

「Aは先に着替えて寝てて。俺、ちょっと近くのコンビニでも行って飲み物とかそういうの買ってくるから。で、いちいち起きるの大変だろうから、鍵借りてく。買い物済ませて帰ったら鍵あけて入らせてもらうから」

「あ・・・はい・・・」

熱で意識がもうろうとし始めていた私は、玉森さんに任せることにして、部屋の鍵を渡した。

「じゃあ、ちゃんと着替えて寝ててね。すぐ帰ってくるから」

そう言い残すと、玉森さんはドアを閉めて鍵をかけ、行ってしまった。
残された私は、何とか部屋着のTシャツとジャージに着替え、メイクを落としてベッドにもぐりこんだ。

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ふわり(プロフ) - 楽しみにしてます! (2017年9月10日 9時) (レス) id: af60c52efd (このIDを非表示/違反報告)
SaYaKa(プロフ) - ふわりさん» コメントありがとうございます。この先は、『裕太短編集』のほうで、短いお話を書いていく予定です。良ければそちらもご覧ください! (2017年9月10日 0時) (レス) id: 3736ec2a42 (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - 続きは無いんですか?!楽しみにしてます! (2017年9月10日 0時) (レス) id: af60c52efd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SaYaKa | 作成日時:2017年5月10日 0時

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