裕太ストーリー 2 ページ2
「お疲れ様で〜す」
楽屋に明るく元気な声が響き渡る。
「千香ちゃん!」
「あ!Aさん!お疲れ様です!」
尾野千香は、担当スタイリストの1人だ。
年齢は私よりずいぶん若いけれど、仕事熱心だし明るくて可愛い。
好きな映画の趣味が同じだということが分かってから、私たちは急速に仲良くなり、今では仕事終わりに食事をしたり、時には一緒に部屋で映画を観たりするほどである。
「Aさん!この間お茶したお店のチーズケーキ、めっちゃ美味しかったですよね〜。また今度一緒に行きましょうね!!」
同性である私から見ても、彼女の言動は可愛らしい。
「うん、そうだね。また行こうね!」
「それと・・・実はちょっとAさんに相談したいことがあって・・・。もし良かったら今度時間取れませんか?」
珍しく遠慮がちに千香ちゃんが誘う。
「相談?もちろん、時間作るよ!大丈夫。じゃあさ、今週末ご飯行こうか!」
そう答えると、千香ちゃんはホッとしたような表情になる。
私たちが話し込んでいると、楽屋の奥から「尾野さんまだ〜?」という玉森さんの声が聞こえてきた。
「あ、玉森さん!すみません!今行きます!!」
慌てたからか、少し頬が赤くなった千香ちゃんが、玉森さんの元へ走っていく彼女の背中を見届けて、私も仕事に戻った。
無事に収録も終わり、メンバーは楽屋でそれぞれ私服に着替えたり、メイクを落としたりしている。
私も諸々の片づけをしていると、突然後ろから声をかけられた。
「ねぇA、今日送ってくれるよね?」
振り返ると、玉森さんが椅子に後ろ向きに座り背もたれを抱きかかえるようにして、こちらを見つめている。
「え?今日は確か加藤さんが送る予定だと思いますけど・・・」
加藤さんはもともと玉森さんの担当でずっとついている先輩マネージャーだ。
「いやだ。」
秒速で玉森さんの不機嫌な声が返ってきた。
「いやだ、って玉森さん子供みたいなこと言わないでください」
そう諭すと、さらに表情が曇っていく。
「いやだ!今日はAが送ってよ。いいでしょ?いいよね、決まり!」
そう言うと椅子から立ち上がり、着替えに行ってしまった。
その背中を見ながら、苦笑いがこぼれる。
また玉森さんのペースに巻き込まれてしまった。
片づけを早々に済ませ、私は車をまわすため駐車場へと急いだ。
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ふわり(プロフ) - 楽しみにしてます! (2017年9月10日 9時) (レス) id: af60c52efd (このIDを非表示/違反報告)
SaYaKa(プロフ) - ふわりさん» コメントありがとうございます。この先は、『裕太短編集』のほうで、短いお話を書いていく予定です。良ければそちらもご覧ください! (2017年9月10日 0時) (レス) id: 3736ec2a42 (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - 続きは無いんですか?!楽しみにしてます! (2017年9月10日 0時) (レス) id: af60c52efd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SaYaKa | 作成日時:2017年5月10日 0時