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宏光ストーリー 7 ページ7

初めて彼女と会ったのは、テレビ局の楽屋だった。

レギュラー番組の収録を控え、いつも通り思い思いに楽屋で過ごしていた俺らの前に、田代さんがひとりの女性を連れてきた。
これから俺らの担当になる新しいスタッフらしい。

緊張で顔は引きつっているけど、何とか精一杯笑顔を浮かべて挨拶をする彼女に、田代さんは俺の担当につくよう指示した。

田代さんに「北山、頼むな」と言われ、適当に返事をする。
そんな俺に彼女は、真っすぐな視線で「よろしくお願いします」と言った。

何てことない出会いだった。
第一印象だって、可もなく不可もなく・・・という感じだし、何より仕事仲間としてしか意識していなかった。

その日から俺の担当は、デビュー前から世話になっている藤原さんと彼女の2人になった。
基本的には今まで通り藤原さんが面倒を見てくれるが、細々とした雑用のような仕事は彼女がやってくれる。

どんなに些細なことでも一生懸命取り組もうとする姿勢は好感が持てるし、徐々にではあるがメンバーとも仲良くなってきているようだ。

特に二階堂や千賀は、何かといえば彼女に話しかけたりちょっかいを出したりしている。
そんな2人に彼女はきちんと向き合いリアクションしてやっている。あいつらはそれが嬉しいらしく、最近ますますちょっかいを出しては彼女を困らせている。


「ねぇねぇさやかちゃん! ちょっと冷蔵庫から俺のお茶とってくれない?」

メンバー全員でのレギュラー番組収録日、楽屋のソファに座った二階堂が、彼女に声をかける。
他のメンバーはそれぞれソファで仮眠していたり、中央のテーブル席で携帯ゲームに興じている。

「おい二階堂。さやかはパシリじゃないんだから、お茶ぐらい自分で取りに行けよ」

見かねて二階堂に声をかけると、

「北山さんありがとうございます。 でも大丈夫ですよ! 二階堂さんちょっと待ってくださいね!」

俺に笑顔を向けた後、二階堂にも同じように笑顔を向けて彼女が冷蔵庫へと向かう。

その様子を二階堂と千賀がニヤニヤしながら見ている。

(・・・嫌な予感がする。あいつらがあんな顔する時は、大抵何か企んでる時だ。何を仕組んでる??)

そう思いながら2人に注意しようとしたその時――――

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SaYaKa - lovemitsu917さんありがとうございます!更新頻度は遅いですが、頑張って更新していきますので、また是非読んでやってくださいね! (2017年4月14日 2時) (レス) id: 81f34fd2ba (このIDを非表示/違反報告)
lovemitsu917(プロフ) - 続き楽しみに待ってま〜す (2017年4月6日 21時) (レス) id: f7579378d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SaYaKa | 作成日時:2017年3月16日 19時

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