宏光ストーリー ４６ ページ46
「へぇ〜それでいじけてんのか、北山」
俺の言葉を黙って聞いていた藤ヶ谷が、表情を少しも変えずにそう言った。
「別にいじけてるわけじゃねぇよ」
「いじけてんじゃん。惚れた女が他の男とちょっと仲良さげなところ見ただけで、ふてくされてんだろ。お前、そんな小っちぇ男だったんだな。ちょっと見損なったわ」
「･･･！ 何だよ、お前に何が分かんだよ」
あまりにもまっとうなことを言われて、悔しさと恥ずかしさといろんな感情が混じり合い、いてもたってもいられなくなった俺は、思わず立ち上がって藤ヶ谷の服の首元をつかんでいた。
「北山のさやかに対する気持ちはその程度なのかって言ってんだよ。本当に好きだったら、振り向かせて見せろよ。何ビビってんだよ。あとで後悔することになっても知らねえからな」
藤ヶ谷の右手が、首元を掴んでいた俺の腕を引きはがす。
「ま、北山が本気じゃないってんなら、いいんだけど。俺には関係ねぇし」
そう言い残して藤ヶ谷はスタジオを出て行った。
「本気だっつーの」
その後ろ姿を見ながら俺は呟いた。
ライブでのソロ曲の演出打ち合わせを終え、休憩していると電話が鳴った。
相手はいつも番組で共演しておりお世話になっている芸人さんで、今夜数人で先日の北海道ロケの打ち上げをするから来ないかというお誘いだった。
仕事が終わり次第合流する旨を伝えると、さやかにも声をかけろとのことだった。
現場での気配りもきちんとできるさやかは、共演者のみなさんからも人気があるのだ。
「分かりました。さやかにも伝えておきます。お疲れ様です」
そう言って俺は電話を切った。
その足でさやかを探していると、玉森と宮田と一緒に談笑しているさやかを見つけた。
「さやか、ちょっといいか？」
近づいて声をかけると、玉森が不機嫌そうに「何？ミツ。今いい感じに盛り上がってたのに」とふてくされたが、気にせずにさやかを連れ出す。
「今日、何人かでこの間の北海道ロケの打ち上げするらしくてさ。さやかにも声かけろって言われたんだけど。どう？」
するとさやかはうつむき考えた後、
「すみません。今日はこの後事務所に戻ってやらなきゃいけない仕事があるので･･･。みなさんには北山さんからよろしくお伝えください」
そう言うと、ぺこっとお辞儀して去って行った。
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SaYaKa - lovemitsu917さんありがとうございます！更新頻度は遅いですが、頑張って更新していきますので、また是非読んでやってくださいね！ (2017年4月14日 2時) (
レス) id: 81f34fd2ba (このIDを非表示/違反報告)
lovemitsu917(プロフ) - 続き楽しみに待ってま〜す (2017年4月6日 21時) (レス) id: f7579378d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SaYaKa | 作成日時：2017年3月16日 19時
