キミのとなり 【Hiromitsu.K】

Episode45 ページ45

「ちょっとユウキ！何てこと言うのよ。私、新しい恋なんて･･･」

彼の姿が見えなくなったところで、私は足を止めユウキに詰め寄った。

「いいのよ！別れた女が新しい恋をして、今では幸せにやってるって思わせるの。ちょっとくらい後悔させてやらなきゃ悔しいじゃない！」

憤るユウキに、私はサトルが言ったことを話せないまま、皆の待つ席へと戻った。

それから数日後。

夕食を済ませ部屋でゆっくりしていると、スマホが着信を告げた。

手にとって画面を確認すると、サトルからのもので、そういえば連絡先を消し忘れていたとふと思う。

しばらくためらった後、通話のボタンをタップした。

「A？良かった、出てくれて」

「サトル･･･どうしたの？」

私が尋ねると、彼はほんの一瞬、言葉につまったような沈黙の後言った。

「なぁA。ちょっと話したいことがあるんだけど、今度時間取れないかな」

「話って･･･？」

「うん･･･電話じゃなくてちゃんと会って話したいんだ。ダメかな？」

ダメに決まってるだろう、と思うのに、すぐに言葉にできなかった。

あんなひどいフラれ方をしたというのに、私はサトルにまだ未練があるのだろうか。

「･･･ダメじゃ･･･ないけど･･･」

自分の言葉に自分で驚いた。

「良かった。じゃあ日にちは･･････」

先ほどの不安そうに沈んだ声とは比べ物にならないほど明るい彼の声が、私にはどこか遠くから聞こえるように感じた。

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