キミのとなり 【Hiromitsu.K】

Episode1 ページ1

デートをすっぽかされた。

待ち合わせ場所でいくら待っても彼は現れず、連絡もない。

何度かメッセージを送ったけれど既読にすらならない。

(何かあったのかもしれない･･･事故にあったとか何か事件に巻き込まれたとか･･･)

いい加減、彼の部屋に行ってみようかと考え始めた時、手の中のスマホが震えた。

彼からの着信を知らせる画面を確認するなり、慌てて通話ボタンを押す。

「サトル？どうしたの？何かあった？」

「A･･･悪ぃ。今日約束してたの忘れてた」

「はぁ？ちょっと嘘でしょ？信じらんない」

「ホント悪ぃ」

「しょうがないな。３０分以上遅刻だけど、私まだ待ち合わせ場所にいるし、今からでも大丈夫だよ」

腹は立ったが努めて明るくそう言うと、電話口の彼は黙りこんだ。

「サトル？」

「･･････ごめん。行けない･･･」

「え？あ、まだ仕事終わってなかった？じゃあ今度にする？」

「いや･･･終わりにしよう。俺たち･･･」

「え･･････？」

あまりにも唐突な別れ話に、私は言葉を失った。

「最近俺たちさ、あんまりしっくりいってなかっただろ？すれ違いばっかでさ」

「だってそれは･･･サトルが今仕事忙しいって言うから、あんまりしつこく連絡したらいけないかなって思って･･･」

彼からの返事はなかった。

その代わり、聞き取るのがやっとというくらい小さな声で衝撃の言葉が返ってきた。

「俺･･･好きな子できたんだ…」

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