Episode40 ページ40
「あ、本当だ。風が気持ちいいな」
北山さんはそう言うと、バルコニーの手すりに寄りかかりながら空を見上げ、静かに目を閉じた。
その姿があまりにも気持ちよさそうだったから、隣で私も真似をしてみる。
しばらくして目を開けると、北山さんが私を見つめているのに気づいて、心臓がドクンと跳ねた。
「Aちゃん…」
「…はい…」
「その浴衣、すげー似合ってるよ。マジで綺麗」
「北山さん…。ど、どうしたんですか、急に…」
さっきよりさらに高鳴る鼓動を感じながら尋ねると、彼は少し居心地悪そうに右手の人差し指で鼻の頭をさすった。彼が照れている時の仕草だ。
「本当は今日会ってすぐに言いたかったんだけど、何か恥ずかしくてさ」
「ありがとうございます。北山さんにそう言ってもらえると…嬉しいです…」
そう言うと、2人の間に今までとは少し違う空気が流れた。
(どうしよう…。今まで北山さんと2人きりになっても、こんなに緊張することなかったのに…)
必死に次の言葉を探していると、ふいに北山さんの優しい声が降ってきた。
「今日、Aちゃんと一緒に花火見られて、良かった。ありがとう」
見上げると、北山さんは柔らかく微笑んでおり、その瞳はとても優しかった。
「私も、北山さんと一緒に見られて、嬉しかったです」
「Aちゃん…」
夜風が2人の間を吹き抜けたかと思うと、北山さんがその距離を詰めるように近づいてくる。
月の光に照らされたその顔は、いつも以上に男らしく、そして色気を帯びている。
そんな彼に見つめられると、魔法にかけられたかのように何も言えなくなる。
そのくせに、北山さんに聞こえてしまうのではないかと思うほど、心臓はバクバクと音を立てるのだ。
ほんの数秒にも、永遠にも感じられる時間の中、私たちは互いに見つめ合った。
「俺、Aちゃんのこと………「ただいまーー!!」
彼の言葉をかき消すように、二階堂さんの元気な声が部屋に響いた。
「お、おう!おかえり」
「お、おかえりなさい!」
魔法が解けたように、私たちは慌てて離れると、リビングに向かって返事をした。
「あれ?2人とも外にいたの?」
「ま、まぁ…」
ユウキの問いかけに曖昧に答えながら部屋へと戻る。
そんな私たちを見て、ユウキは意味ありげな視線を寄越したが、私は気づかないふりをしてやり過ごした。
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SaYaKa(プロフ) - yndreamv0mm0vpqさん» コメントありがとうございます!!たくさんドキドキしてもらえるように頑張ります^ ^ (2018年8月2日 7時) (レス) id: d50237b6e9 (このIDを非表示/違反報告)
yndreamv0mm0vpq(プロフ) - 今後の展開がすごく気になります。2人はどのようにして再開し、恋に発展して行くのか。ドキドキ。楽しみにしています。 (2018年8月1日 18時) (レス) id: 59b8f94fa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SaYaKa | 作成日時:2018年7月31日 1時