キミのとなり 【Hiromitsu.K】

Episode27 ページ27

開演時間間近になった頃、会場内のモニターでは可愛いキャラクターたちが映し出されていた。

彼らはスクリーマーズというらしく、キスマイのメンバーを模したというオリジナルキャラクターで、それぞれに名前もあり、特徴もあるらしい。

可愛らしいスクリーマーズたちがライブ中の注意事項などを示した後、カウントダウンが始まり、いよいよライブがスタートした。

メンバーが出てきた瞬間、ドームの中は女の子たちの黄色い歓声に包まれる。

そして１曲目のイントロが流れた瞬間、その完成はさらに大きくなった。

隣のユウキも「１曲目がTell me whyなんて泣ける！！」とすでにタオルで目元を拭っている。

私は雰囲気に圧倒されてしまったけれど、分からないながらも一生懸命ペンライトを振る。

初めて生で聞く北山さんの歌声は、猛々しく男らしかったり、セクシーだったり、甘かったり、かわいかったり･･･と曲のイメージによって全く異なる表現がされており、ついその声に耳を奪われた。

私たちの前の席には若い女の子２人が、全身赤色の洋服に身を包み、北山さんの団扇やファンサを求める団扇をブンブン振ってキャーキャーと黄色い歓声を上げている。

周りを見渡すと、同じように赤い服を着た人や北山さんの団扇を持つ人がたくさんいて、改めて彼は大人気のアイドルなんだと実感させられた。

数曲歌い終わりメンバーが散り散りになった頃、目の前をニカちゃんが通った。

ユウキは一生懸命「ニカちゃ〜ん！」と叫び団扇をアピールしている。

すると彼はその場に立ち止まり、こちらに向かって手を振ってくれた。

「キャー！！ニカちゃん、こっちに手振ってくれたよね？嬉しい〜」

ユウキは私の肩をバシバシ叩きながら興奮している。

その後も私たちの前を通るたびに必ずファンサービスをしてくれて、ユウキは涙目で喜んでいた。

北山さんが目の前を通る時、ユウキに言われるがまま、手にした２枚の団扇がしっかり見えるように持つと、北山さんはこちらに向かってバーンと指で撃つジェスチャーをした。

その瞬間、前の席の赤い服を着た２人が「キャー！！」と黄色い声を上げた。

「今の絶対私たちの団扇に気づいたよね！」
「うん！絶対そうだよ！」

そう言って喜ぶ彼女たちを見て、こんな風に女の子を一瞬で幸せにしてしまう彼らはすごいな、なんてどこか冷静に考えていた。

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