本懐の果て

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※第４話 side：降谷ページ6

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「裏切りには制裁をもって答える、だったよな？」

地を這うような冷酷な声が響いた。

屋上に辿り着いた僕の瞳に映ったのは、胸から血を流し座り込んだまま壁面に身体を預けるように寄り掛かったヒロの姿。

そして、もう一人。
ニット帽を被った黒髪、長髪の男。

コードネーム：ライ

何故、この男が、と今すぐにでも飛びかかりたい衝動を抑え、ヒロの元へ駆け寄った。
本名で呼びそうになるのをグッと堪え、組織に与えられた名を口にする。

「おいスコッチ!？」

執拗に何度も身体を揺さぶった。
反応はなく、焦りから額に汗が滲む。

「しっかりしろ、スコッチ！！スコッチ!？」

くそっ、と舌打ちし心臓に耳を当てる。

「心臓の鼓動を聞いても無駄だ」

死んでるよ、と一連の動作を眺めていたライが顔に付着した血を袖口で拭った。

「拳銃で心臓を・・・ブチ抜いてやったからな」

わざと拳銃をチラつかせてから、胸の内側に取り付けたホルスターに仕舞い込む。

「ライ・・・、貴様っ」

憤りを隠しきれず射ぬくような眼差しを向ければ、さも当然だ、と言いたげな声音で「聞いてないのか？」と返ってきた。

「そいつは日本の公安の犬だぞ」

'そんな事は知っている'

そう叫びたくなるのを拳を握り締め、必死に耐える。知ってか知らずか、ライは淡々と言葉を紡いだ。

「・・・残念なのは、奴の胸のポケットに入った携帯ごとブチ抜いてしまった事」

お陰でそいつの身元はわからずじまい、と二人から背を背けライは呆れたように呟いた。

「幽霊を殺したようで気味が悪い」

そう吐き捨てて、ライは屋上から姿を消した。

ライを撃ち殺したい衝動に駆られながらも、そんな場合では無い、と僅かな理性が歯止めをかける。

'今ここに居るのは、幼馴染みの降谷零ではなく公安の降谷零だ'

自身に言い聞かせ、無理やり奮い起たせた。

今すべきことは解っている。

プライベート用のスマホを取り出し画面に表示された『風見』の文字の前で指を止める。

数コール後。

「風見か？至急、諸伏景光の家をあたってくれ。・・・あぁ。死んでしまった」

通話口に出た部下の風見に指示を出し、後ろ髪を引かれる思いで屋上を去った。

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