※第31話 探偵たちの夜想曲 ページ33
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調べて分かった。
『米花町』は大なり小なりの犯罪 件数が異常に多いということ。
それはもう死神に好かれてるんじゃないか、ってくらい。
今朝のニュースにしたってそう。
いまだ逃走中の三人組の銀行強盗。
犠牲者一人を出し、二億円が奪われた。
犯罪の多い町なんて滅多にお目にかかれない。
しかも、そのほとんどに見た目小学生、中身高校生の彼が関わってる。
本来の目的は別として、俺の好奇心を擽るのには充分過ぎるくらいだ。
前回の反省を踏まえ、黒のカラコン、黒のゴーグル。普段通り灰色の外套を羽織り、フードを目深に被る。
またいつ必要になるか分からないので、肩掛けのボディバッグにはタブレットと予備のカラコン。
彼の所に行けば、きっと面白いことが起こる。
町を適当に散策しながら『毛利探偵事務所』へ向かった。
「何してんの?」
探偵事務所へ続く階段を覗くと踊り場に小五郎さん、蘭さん、コナン、そして安室さんが居た。
「丁度、入る所だったんです。高崎さんも一緒にどうですか?」
安室さんが不敵な笑みを浮かべる。
どうですか、って言われても。
自由すぎる安室さんの発言。家主の小五郎さんを見ると、特に気にした様子もない。
コナンもとっくに諦めているようで、首を横に振っていた。
ちらり、と安室さんを盗み見る。
張り付いた笑顔と挑発するような瞳。
明らかな第二ラウンドの誘い。
自然と口角が上がった。
「じゃあ、遠慮無く」
後を付いていくように階段を昇る。
ふと、傷付いたドアノブの鍵穴が瞳に映り込んだ。
ピッキング?
どうして探偵事務所に?
パァンッーー
瞬間、一発の銃声が響いた。
ーーそういえば。
彼が関わった事件の八割以上が殺人事件だったっけ。
これから巻き込まれるだろう事態に、人知れず息を吐き出した。
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作者名:鐘稀 | 作成日時:2019年11月2日 21時