※第32話 探偵たちの夜想曲 ページ34
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事務所のトイレには撃ち抜かれたドレッドヘアの男性の遺体。
一緒に閉じ込められていたらしい女性は大粒の涙を流しながら、ソファに座らされていた。
どういう経緯でこうなった?
状況が全く掴めない。
「なぁ、コナン。そろそろ説明してもらえる?」
「そっか。Aさん来たばっかりだもんね」
手招きに従ってしゃがむと、コナンが小声で話し始めた。
大粒の涙を流す女性の名前は樫塚圭。
兄の遺品からコインロッカーの鍵を見付け、合うロッカーを探してほしい、と小五郎さんに依頼。
最初は事務所で会う予定だったが、樫塚さんの都合で『コロンボ』に変わった。
いくら待っても現れず、メールを確認すると、送り主のアドレスが違うことに気付いた。
行き違いになったのでは、と事務所に戻ってきてみれば、ドアノブの鍵穴にピッキングの跡。
トイレまで何かを引き摺ったような二本の線。
食器棚には濡れたままのカップ。
蘭さんの性格からして、濡れた状態で食器棚になんて、まずしないだろう。
つまりーー
'誰かが勝手に事務所を使った'
怪しいのは、遺体の傍に居た依頼人の樫塚圭ってところか。
目線を上げれば、安室さんも何かを探るように彼女を見ていた。
「では、こういう事かね?」
その間も続く聴取。
「毛利君の助手と名乗る男に出迎えられ、スタンガンで気絶させられて」
彼女から話を聞いた目暮警部が状況を整理する。
「気が付いたらガムテープで拘束され、トイレに押し込まれていたと・・・」
あくまで自分は被害者。
それが彼女の主張のようだ。
高木刑事から、彼女の体や衣服からはほとんど発射残渣が出なかった、と報告が上がった。
ーー自 殺。
目暮警部はそう判断したらしい。
・・・これの何処が?
遺体の足元に落ちていた二枚のうち、片方だけが濡れたタオル。
靴紐の先にあった結び目。
男の首筋に見えた等間隔の、薄い火傷の跡。
きっと安室さんもコナンも気付いてる。
さぁ。
これからどう動く?
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作者名:鐘稀 | 作成日時:2019年11月2日 21時