検索窓
今日:6 hit、昨日:26 hit、合計:190,460 hit

※第12話 ページ14

※流血表現注意



「おい。ボケッとすんな、眼鏡坊主」

視線を横に流すと、呆然と此方を見つめているコナンの姿が瞳に映った。

「早く警察」

呼んでこい、と出かけた言葉は扉を蹴破る音に遮られてしまった。

「警察だ!!大人しくするんだ!!」

声を張り上げ乗り込んできたのは、茶色い帽子に茶色い外套を身に纏った茶色づくしの、口髭を生やした小太りの男性。

その背後にはカッチリとしたスーツに身を包んだ、一見すれば好青年の男性の姿もあった。

「目暮警部!!それに高木刑事も!!」

コナンが驚いたように声を上げる。

なんだ。
もう呼んであったのか。

跨がっていた男から退き、近くのソファに凭れるように座り込んだ。

「すげぇな、兄ちゃん!!」

興奮気味に話しかけてきたのは体格のいい、おにぎり頭の少年ーー小嶋 元太。

「アクション俳優さんみたいでした!!」

キラキラした瞳で俺を見上げるのは、顔にソバカスのある少年ーー円谷 光彦。

「お兄さん、哀ちゃんを助けてくれてありがとう」

ついで顔を見せたのは大粒の涙を流していた、肩口の辺りで髪を切り揃えた少女ーー吉田 歩美。

出会ったばかりの俺に名前を教えてくれた子供達に思わず苦笑が漏れた。

「お礼なんて別にいらない。それより危ないから、あっちに行ってろよ」

「「「はーい!!」」」

元気よく返事した子供達は「博士〜」と言いながら、白髪の老人の元へ戻っていった。


「その紅い瞳。やっぱり貴方、ブラッディね」


鋭い眼差しを向けてきたのは、さっき俺が助け出した'哀ちゃん'と呼ばれる少女。

「貴方のことだから、私の正体を知った上で来たんでしょ?」

問いかけに肯定も否定もしないで目を細めた。その実、内側では興奮が冷めやらない。

彼女の正体が宮野志保だという事実。

空論が真実に変わった瞬間。
口許が僅かに緩んだ。

「此処に来たのはただの偶然。信じる信じないは好きにしろ」

「何が目的なの?」

「その話は、また今度。とりあえず今は、あの子達の所に戻ってあげたら?」

此処で話す気は無い、と暗に示す。

「・・・助けてくれて、ありがとう」

小声で呟いて、彼女は子供達の元へ向かった。

状況を説明するコナンを尻目に脇腹を抑えれば濡れた感触。
不味いな、とどこか他人事のように思考を巡らせていた時。

「大丈夫ですか!?」

眼前には茶褐色の肌に金髪、青目の男。


'コイツのこと頼んだからな?'


久し振りに景光の声が聞こえた気がした。



×

※第13話→←※第11話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (60 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
166人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鐘稀 | 作成日時:2019年11月2日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。