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玄「え…」
不「てめぇは知らん顔してどっかで幸せに生きてれば良かった」
玄「兄ちゃ…」
不「…俺と来るか、悲鳴嶼さんとこ戻るかはてめぇで選べ、玄弥。俺を選べば死ぬほどきつい鍛錬を毎日やらせるぜ?」
すたすたと帰ってしまった不死川さんは、去り際に少し寂しそうに笑っていた
玄「っ!ありがと、A。また稽古つけてくれるか?」
『もちろん。いいお兄ちゃんを持ったね。大事にしなよ?』
玄「当たり前だ。じゃあ」
玄弥くんは嬉しそうに笑いながら不死川さんの後をおった
二階の窓から下を眺めると、面倒くさそうに扱いながらも口元がにやけた不死川さんと心底嬉しそうな笑顔の玄弥くんが見えた
『はぁ、とりあえず持ち帰りの弁当に変更してもらって師匠に運んでもらおう』
店員さんに変更を伝えて、代わりに運ばれてきた私の夕食をみんなで分け合いながら食べた
累「もし妹が生きてたらどうする?」
『もし生きてたら、か…。手繋いであちこち連れ回すかも。手始めに御館様のとことか柱の皆のとことか、炭治郎達にも会わせてあげたいし、海も山も、この世界の全てを見せてあげたい』
累「…」
『累とは案外合うかな?あやとりも得意だったし!お兄さんも問題ないよ、あの子虫とか素手で掴んで庭に逃がしてあげてたし。稲帆はいいお兄ちゃんになれるかもね!抜けてることもあったし、稲帆くらいしっかりした人が欲しかったし』
兄「だと。良かったなぁ、累」
累「うるさい。足切るよ?」
稲帆「実際どうなんだ」
『多分いないと思う。そんな気がするし、あおとあかもそんな話してる』
刀を撫でながら話し、食べ終わると会計を済まして逃げるように帰路に着いた
あおもあかも、あの妹はいないっていう話をしてくる
そういう言われ方すると無性に期待してしまう自分がいて
あの妹はいない。もしかしたら全て忘れてこの世界で幸せに生きてるかもしれない
そうだったら、
少し寂しいけどそれもいいな、なんて思ってしまって
無意識にとなりを歩く累の手を強く握ってしまった
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作者名:切人(スランプ中…) | 作成日時:2020年11月12日 12時