3日目。 ページ4
水の中に入り少し制服は濡れたがボールペンは何とか拾えた。
見たことのある大手の会社のボールペンに自分でカスタマイズしたような跡。
…すごいな。よく見ないと手作りってわかんない。
…届けようか、置いておこうか。
そんなことを考えたがすぐに答えは出た。
届けに行こう、と。
まだ暁山さんが出てから数分しか経っていない、まだ校内に居るはず…！
そう思い急いで駆けていく。
周りが私の服を見て驚いたような顔をしているがそんなことを気にしている暇はない。
何故かって？…セーター二枚重ねだからね！！
透けたりしないから安心して暁山さんを探せるよ。
だが、転校したばかりの私が方向なんて分かるわけもなく気がついたら屋上へと向かう階段にいた。
…居るわけないか。そう思い階段を戻ろうとする。けれど立ち入り禁止のテープが少しううん、かなり寄れていることに気がつく。
まるで、誰かが入ったみたいな。
私は少しの望みにかけて屋上に入ってみることにした。
『たっ、頼もーーーーー！！！』
「うわぁっ！…って……転校生ちゃん？」
『えｯ、暁山さん！？』
え、ホントにいた。
そんなことを考えながらもずんずん、と暁山さんとの距離を詰める。
『あ、あの！これ……暁山さんの…ですよね？』
「え…なんでそれを…。」
『あ、えっと、実はトイレの洗面所にあるの見つけて！』
「……嘘つき、……トイレの洗面所がこんなに汚れてるわけ無いじゃん。」
『…あ、』
「いいよ、気使わなくて。どーせ、池に落ちてたんでしょ。」
ボクの事なら気にしないで、変な気使われる方が面倒だし。拾ってくれてありがとね。
そういうと暁山さんは立ち上がり屋上の出口の方へ向かった。
『ｯ、待ってください！！』
私は思わず暁山さんの手を掴んでいた。
だけど、その手を見て気がついた。
暁山さんの手が震えていることに。
『え、手震えて…。』
「ちょっちょっと待って！！君なんでこんなに手が冷たいの！ってよく見たら服も！！」
暁山さんに言われて初めて自分の服が濡れていることに気がついた。
…わぁお、セーターまでびしょ濡れ。
私は冷静だったのに対して暁山さんは慌てて自分のセーターを脱ぎ私の方に渡してきた。
「こ、これ着なよ！急がないと風邪ひいちゃう！！」
『…ふははっ、』
「…え？」
『暁山さんって、思ってたよりもずっと可愛いですね。』
「…ｯ、え？」
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作者名：メロンのパン | 作成日時：2023年8月10日 16時
