Lillyの王様 ×seven×《ars/s.s》 (ページ27)

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Episode41 -3 ページ27

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日が傾き始めた午後三時半、私は智さんに挨拶をして一人足早にお店を出た。

目指すのは翔さんが入院している病院。

長く感じられた一週間が、ようやく終わろうとしていた。

病院に着くと二宮さんまだ到着していなかった。

一人先に翔さんの病室を訪ねる。

コンコンコンと扉をノックする音が静かな廊下に響き渡る。

「翔さん？Aです」

「ああ、入れ」

「お邪魔します」

扉を開けると普段着に着替えた翔さんが足を組んでパイプ椅子に座っていた。

ベッドも、サイドテーブルも、すでに全部片付いている。

「カズは？」

「まだみたいです。やたら信号に引っ掛かるって連絡が来てました」

「そうなのか？」

驚いたような顔をした翔さんが「カズのやつAには連絡してるのか…」と小さな声で呟いた。

「あの…？」

「いや、俺には連絡よこさないでお前にしてたのかと思って。A、これからもカズとはなるべく二人にならないように」

「え…」

「返事は」

「は、はい」

「それでいい」

ふっと笑って翔さんの手が伸びてくる。

頭をそっと撫でながら「カズにも注意しなきゃいけないのかよ」と翔さんがぼやく声が聞こえた。

これは、あれ…？

もしかして翔さん、二宮さんにやきもち焼いてるとか、そいうい…いやいやそんなまさか。

内心ドキドキとしながら翔さんの顔を見上げる。

私が見ているのに気が付くと、翔さんはふいと目をそらしてしまった。

「翔さん？」

「なんでもない。別に心配してるわけじゃ…」

「…ふふ、わかりました」

「笑うな」

「わっ」

せっかく整えてから来たのに髪がぐしゃぐしゃに撫でまわされた。

手が離れて行ってから抗議を込めて見上げると翔さんと目が合う。

「ほら、行くぞ」

「もう、髪綺麗にしてきたんですよ！」

「これからカズに会うんだからそのくらいでいいよ」

「…っ」

あぁダメだ、泣きそう。

翔さんから愛しさが伝わってくる。

言葉一つ一つに、行動の端々に。

私を大切だって、言ってくれてる。

気安く触れる髪にも、声が聞こえる耳にも、熱が集まって熱くなる。

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