Lillyの王様 ×seven×《ars/s.s》 (ページ2)

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Episode38 -2 ページ2

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私はその時間仕事中で、たぶん抜けられない。

……智さんに相談すれば抜けさせてくれるかもしれないけど、ちょっと申し訳ないもんね。

「その二宮さんはどちらへ？」

「会社に電話を入れに行った。談話室にいなかったか？」

「？…いなかったような気がしますけど…」

「そうか。トイレでもついでに行ったのかな」

「そうかもしれませんね」

翔さん言葉にうなずくと、翔さんは起こしていた身体をベッドに横たえる。

「A、しばらくいるのか？」

「はい、面会終了時間までいますよ」

「じゃあ、俺少し寝るからちょっと頼まれてほしいんだけど」

「なんでしょうか」

翔さんがお願い事なんて珍しい。

私は少し嬉しい気分になりながら、翔さんの言葉に耳を傾けた。

翔さんが眠った数分後、扉が開いて二宮さんが顔を見せた。

「あれ、戸羽さん？来てたんだ」

「こんばんは二宮さん。はい、少し前に」

二宮さんはスーパーの袋らしきものを下げていた。

「どこかへ行ってたんですか？」

「ああ、会社に電話した後に近くのスーパーまでね。…あ、翔ちゃん退院決まったってよ」

「そうみたいですね。よかったです」

「あれ、もう翔ちゃんから聞いたの？」

「はい。さっき、少し起きていたので。今はまた眠ってますけど」

「そっかそっか」

「二宮さん、何か飲みますか？」

私は言いながら椅子から立ち上がる。

壁に備え付けられた簡易キッチンに向かうと、「じゃあコーヒーで」という声が耳に届く。

「わかりました」

「あ、戸羽さん、悪いけどそこの果物ナイフ取ってもらっていい？」

「これですか？はいどうぞ」

電気ケトルのスイッチを押してから私は果物ナイフを手に取って二宮さんに渡す。

すると、二宮さんは椅子に座ったままさっき持っていたスーパーの袋に手を突っ込んだ。

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