Lillyの王様 ×seven×《ars/s.s》 (ページ3)

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Episode38 -3 ページ3

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私はそれを横目にマグカップを二つ取り出してインスタントコーヒーのドリッパーをセットする。

「ねぇ戸羽さん、リンゴ食べない？」

「え、リンゴですか？」

聞こえた声に振り向くと二宮さんが果物ナイフをリンゴに添えていた。

どうやらリンゴを買いにスーパーまで行っていたらしい。

「私が食べていいんですか？」

「うん。だって、翔ちゃん寝てるみたいだし」

二宮さんが一瞬翔さんを見やる。

その視線を同じように追って、私は口角を上げた。

「そうですね、では少し。お皿持っていきます」

「うん、よろしく。……戸羽さんのために買ってきたからさ」

「何か言いました？」

「いいや、別に」

何やら低い声が聞こえた気がして私は一度振り返る。

けれど二宮さんは笑顔でふるふると首を振った。

私はキッチンに向き直ると簡易セットの中から一枚お皿を取り出して二宮さんの元へと持っていく。

翔さんのベッドに取り外し用のテーブルをかけて、そこにお皿を置く。

「どうぞ」

「ありがと」

二宮さんがそのお皿を手元に引き寄せる。

まだ剥かれていないリンゴを見ながら私は電気ケトルが音を立てたのに気が付いてキッチンの方へと一歩を踏み出した。

「ねぇカズ、そのナイフで今度は誰を刺すの？まさか…A、とか言わないよね」

次の瞬間、聞こえた声に私はぴたりと動きを止める。

そっと振り返った私の目に、ナイフを私へ向ける二宮さんの腕を掴む翔さんの姿が映った。

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