Lillyの王様 ×seven×《ars/s.s》 (ページ19)

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Episode40 -2 ページ19

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柚木の隅のテーブル席。

私は二宮さんと向かい合っていた。

緊張するような、なんというか気まずい雰囲気が流れている。

空気が少しだけ張り詰めていて、置かれた水のグラスすら沈黙しているみたいだった。

緊張をごまかすみたいにその水で口を湿らす。

「あの、」

「じゃあ聞きたいことに応えようか」

意を決して発した私の言葉にかぶさるように二宮さんが言う。

顔は笑っているけれど、その真意はとても読めそうにない。

底の見えない二宮さんの表情を見ながら、私はようやく二宮さんの心情を悟ることになった。

つまり二宮さんは、まだ私を認めてくれてはいないのだろうということを。

言葉を探して視線をさまよわせる。

二宮さんは何も言わず私の言葉を待っているようだった。

「二宮さんは…その……どこまで知ってたんですか？」

「どういうこと」

「……理子さんが私を攫うことは？それも二宮さんの指示ですか？」

「……ふ」

私が紡いだ言葉に二宮さんが口の端だけで笑う。

「先に言っておくけど、俺は別に何もやってないよ」

「え？」

「理子さんの件も、あんたの拉致計画を知ってたわけじゃない。予想はしてたけど。なんたって、あんたのことを翔ちゃんのお父さんに報告したのは俺だからね」

「あ…」

翔さんの思っていた通りだった。

やっぱり、理子さんは翔さんとの約束を破ったわけじゃない。

それが分かったことは、ざわつく心をほんの僅かだけ落ち着かせてくれた。

「翔ちゃんに恋人がいると分かればあの人なら何かするだろうとは思ってたし、その指示を受けるのは理子さんだろうとも思ってたよ」

「理子さんに行くって予想出来ていたんですか？」

「そう。だって、そもそも俺と理子さんも知り合いだからね」

「えっ…」

嘘…二人はお互いに知らない者同士のような会話をしていたのに。

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