Episode26 -3 ページ3
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「あの、なにかあったんですか？」
私を横目に見降ろした翔さんは、傾けていたコーヒーから口を離して飲み込んでから口を開く。
「昼間の客がもしかすると来れないかもしれないらしい。仕事の都合らしいが、無くなる可能性の方が高そうな言い方だった」
「なるほど」
そういうこともあるわけか。
「深月のランチ予約入れてたから、せっかくだしお前と一緒に行こうかと」
「そうなんですね」
昼の予定が空くかもしれないときに真っ先に私に声をかけてくれたことが嬉しい。
雅紀くんには悪いと思うけれど、その優しさに甘えることにした。
「嬉しいです。今日も翔さんとご飯食べられるかもしれないってことですよね」
「まだわかんないけどな。花束は受け取りに行くから」
「わかりました、用意しておきますね」
お昼休みを翔さんと一緒に過ごせたらいいなと思いながら、私はお店の前で翔さんと別れたのだった。
お店につくと早々に智さんがにんまりした笑顔を浮かべて私に話しかけてきた。
「Aちゃん、昨日はどうだったんだ」
「……智さんも聞きます？」
「なんだ、すでに誰かに聞かれたのか」
「雅紀くんに」
「あー、雅紀くんな、そりゃ仕方ねぇな…で、どうだったんだ百合の君の誕生日は」
「どうもこうも、普通にお食事しただけですってば」
自分の席についてコーヒーを飲む。
向かいの席に座っている智さんは「普通にかぁ」となんだか残念そうな声。
どうして智さんが残念そうなの。
「そのまま泊まったりしなかったのか」
「っ、し、しないよ…！」
勢いよくコップを机にたたきつけてしまったから中身がざぶんと揺れ動く気配がした。
危ない、こぼれなかったかな。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年6月1日 10時
