声 ページ2
太輔said
「でね♪渉がさ♪」
渉って言葉を聞いた瞬間に
彼女の顔から徐々に笑顔が消えていく……
「どうしたの?」
「……」
下を向く彼女が心配になった……
「気分悪い?大丈夫?」
思わず駆け寄って、隣で膝をついた…
首を振る彼女……
いきなりどうしたんだろ……
なんか変なこと言ったかな……
髪が顔にかかって表情が見えない……
「どうしたの?何かあった?」
すると、光の粒が美子ちゃんの手の甲に落ちた……
泣いてる……?
「……ちょっとごめんね。」
髪に手を伸ばし、耳にかけた……
「どうして泣いてるの?俺なんか嫌なことした?」
俺を見て首を振った……
あぁ、こんな時に不謹慎だなって思ってたけど……
やっぱ泣き顔も綺麗……
「……っ…」
泣きながら俺に向かって
震える唇が微かに動いた……
なに?なにを伝えようとしてるの?
俺になにを……
「ごめん、もう一回っ……」
「……っ…」
吐息交じりに唇が動く……
震えてるから読み取れない……
俺になにを伝えようとしてるの?
知りたい……
「ごめん、読み取れない……手話で教えてくれる?」
俺がそう言うと、首を振った……
きっと自分の口から伝えたいんだ……
声は出ないけど、自分の口から…
じゃあ俺も……
「わかった、もう一回言ってくれる?読み取るから。」
根気強く彼女に付き合おう……
流れる涙を指で拭った……
ゆっくりと唇が動く……
「……っ…」
さっきから美子ちゃんの口から音が聞こえる……
声のような……
何回も根気強く唇を動かして俺に伝えてくる…
「……っ…」
また聞こえた……
微かに言葉が……
もしかしたら……
「……声……出そう?」
俺が気付いたことに驚いて、何度も頷いた……
「じゃあ……その声で伝えて…俺もその声で聞きたい……」
美子ちゃんの手を握った……
頑張れ……
俺がそう言うと、頷いてまた唇を動かした……
「……っ…」
頑張れ……
「……ゃ…」
小さく、本当に小さいけど、声が出た……
「っ!!聞こえたよ!もう一回!」
目を閉じて耳を澄ませた……
美子ちゃんの声だけに集中する……
「……ふ……じ……が…ゃ……さ………
……す………き……」
え?……今……
目を開けて、彼女を見ると
涙を流しながら、俺に笑いかける彼女がいた……
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作者名:mile | 作成日時:2017年8月12日 16時