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「えぇやぁん、一緒やろうやエリぃ〜！」って
グズッてるこじけんくんはかわいいけれど
これはちゃんと考えての結果だから納得してもらうしかなくて。
「本当にごめんね？
でも衣装班、キク子先輩と私だけになっちゃうし
美術だってしばらくは人手足りなくなるから
1年生が入ってくるまではそっちに集中したいの。
……それにね、新入生公演で役者をやって思ったけど
やっぱり、あの舞台に立つ人には覚悟がいるんだと思った」
健「覚悟？」
「うん。自分を曝け出す覚悟。
役を演じてるのにって思うかもしれないけれど、
演じてる時の自分の映し方だったり
ハプニングが起きた時の対応の仕方だったり
そういうのって結局、素の自分なんだなって。
私は自分に自信がないから、
セットの位置が間違ってた時にそればっかり気にしちゃって
うまくフォローできなかった。
だけどこじけんくんとか阿南くん、恩田くん、
それに大晴くんもみんな上手くフォローできてたから
やっぱり、そういうところが役者に向いてるんだろうなぁって」
健「ふーん。自分を曝け出す覚悟、か……」
ちらっと視線を外したこじけくんが呟く。
いけない！
また私ときたらペラペラと必要以上のことを！
「ご、ごめん！
大学で始めたぽっと出が何言ってんだって感じだよね、」
健「いや、なんか納得したわ」
「えっ？」
健「それと、エリーやっぱ役者やってよかったなぁって」
「へ？」
恥ずかしくて火照ったままの顔をあげたら
こじけくんは笑って言った。
健「前は「私なんて、」とか「いやいや」言うて
自分の意見言えへんかったやん。
周りにもよぅ流されとったし。
やけど、今はちゃんと自分の気持ちで断れるようになった。
ちゃんと成長してるんやなぁって。
えらいえらい。
小島お兄ちゃん大喜びよ」
「こ、こじけんくん、」
もしゃもしゃとまた頭撫でられて
恥ずかしいけど嬉しくて。
そっか、私も少しずつ変わってるんだ。
健「……大晴も覚悟決めたんやろうな」
「え？」
健「実は、アイツの所属希望預かってんねん」
「ほら」って見せてくれた紙には
確かに大晴くんの字で希望が書いてあって。
でも、それは予想してたのはちょっと違ってて、
「これ、」
健「おん。……闘うって、決めたっちゅうことや」
絶対通るって言われてる第一希望の欄には
しっかりした字で
「役者」って書いてあった。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年12月1日 22時
