◆そこに立つ、覚悟。 ページ8
・side.Ellie
「大晴くん、今日もお休みなんだね……」
部活の休憩中、いつもの席の空席が寂しくてこじけんくんにそう言ったら
「あ？」って季節外れの棒アイスを食べながら
スマホをいじってた顔があがる。
健「なんか言った？エリー」
「えっと、今日も大晴くんいなくて寂しいなって」
健「かわえぇなぁ(笑)
たいせーもエリーみたいな子と付き合ったらえぇのに」
「そ、れは、」
「えぇこえぇこ」って頭を撫でられても
上手な返事はできません。
学祭公演の打ち上げの1次会が終わって、
2次会に行くグループの中にいつの間にかいた大晴くんは
目を真っ赤にしてて。
何かあったんだろうなぁとは思ってたけど
2次会のカラオケは部屋別れちゃったし
キク子先輩のお世話してたら声をかける暇もなくて。
反省会の時に聞いてみよう！って思ってたら
大晴くんはお休みしてたから、結局何も聞けないまま。
もしかしたら、結城先輩と何かあったんじゃないかな。
打ち上げに結城先輩と正門先輩いなかったし。
そんな確信に限りなく近い予想を立てたら
勝手に結城先輩とも気まずく感じちゃったりして。
「……大晴くん、大丈夫かな」
健「だいじょーぶやって。
誠也くんには
『じぃちゃんの元カノの孫の今カレが死んだから忌引きしますぅ』って
言うてるから」
「……それ、絶対バレてるんじゃ」
色々ツッコミどころはあるけど
まず忌引きの適応範囲外な気がする。
健「……ま、時間がいんねん。アイツにも」
ガリッて商品名みたいな音を立てながら
アイスをかじったこじけんくんの視線の先には
お話してる正門先輩と結城先輩がいて。
反省会の時に、
前にキク子先輩が話してた酒寄さんって人が
学祭公演の衣装を破いた犯人だった事を誠也先輩から聞いて
先輩たちは「酒寄め！」って怒ってたけど
結城先輩の顔は沈んでた。
そんな結城先輩の背中をずっとさすってたのは正門先輩で。
その2人を見ながら、
モヤモヤする気持ちを心の中でうまく処理できなくて。
だってあの時、正門先輩は、
―……きっと、結城傷ついてまうんやろうなぁ―
健「エリー？」
「ん、あ、はい！」
木の棒を咥えながらひょっこり目の前にお強い顔面を覗かせたこじけんくんに
ぎょ！っとのけぞったら
背中がぴきっ！って。
いたい……っ、まだ筋肉痛の名残みたいなの残ってるのに……(泣)
「どうしたの……？(泣)」
健「え、なんで涙目なん？」
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作者名：マリア | 作成日時：2023年12月1日 22時
