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11月にもなると日の入りの時間はずっと早くなっていて、
晩ご飯のおかずを買ってスーパを出たら
すっかり街灯が眩しく感じる。
良「学園祭終わったら急に秋やなぁって思うよな」
「そうねぇ、どこかもの寂しいというか。
センチメンタルとノスタルジックの半分みたいな気分」
良「へぇ、なんかえらい詩的な表現やん。
結城っぽいわ」
「台詞には使えないんだけどね、抽象的過ぎて」
良「そう？
『ドローリング。』みたいな心ん中表してるって設定やったらいけそうやけど」
「いやいや、むしろ心の中っていう抽象的なものを表現する時にこそ
具体性を持たせないと。
言語にした時に抽象化しちゃうだけで、
イメージしたものは心の中ではきちんと形造ってるはずでしょ？」
良「なるほどな。
ほんなら逆に具体物でしかないもんがそういう抽象的なこと言うたらどうやろ？」
「例えば？」
良「例えば……、あ、街灯とか！」
「あぁ……、それは面白いかも」
良「やろ！」
「うん。……」
登場人物、台詞、背景
頭の中で瞬いてる星のような断片的なイメージを繋げ合わせたら
星座みたいに何か物語が生まれそうで
胸がワクワクしてくる。
良「ふふ、ちょっと書きたくなったんちゃう？」
「……バレた？」
良「ふはは、そんなおめめキラキラさしてたら分かるよ(笑)
えぇよ、結城が書いてる間に俺が晩飯作っとくから」
「え、正門。今日も泊ってくの？」
良「え、泊まっちゃあかんの？」
「いや、そうじゃないけど……。
千秋楽終わってから昨日もずっと一緒だったから、
今日は帰るんだろうなぁって」
良「えー？帰るっちゅうんなら
わざわざスーパーまで付き合わへんよ(笑)
食後のアイスまでカゴにつっこんでんのに」
そう言っていつの間にか入ってたピノを
イタズラっぽい笑顔で見せてくる正門に、
自然と頬が緩んでた。
「……ありがと、正門」
良「ん？なにが？」
「近くにいてくれて。
私、正門がいないときっとだめになってた気がする」
良「そう？ほんならずっと隣におったるで」
「えぇ？(笑)」
甘い台詞が恥ずかしくて
また冗談をって思いながら見上げたら
正門の表情が台詞以上に甘く優しい顔をしてたから
目が離せなくなる。
良「結城がだめになりそうやったら、
俺も一緒に堕ちてあげる。
やから、安心して寄っかかっておいで」
「正門、」
それは、自分で創った世界に落ちていくような感覚。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年12月1日 22時
