〇似た者同士のふたり-Blue. ページ5
・side.Yuki
「ふぅ、楽しかった……」
“ひなちゃん”こと
心地いい疲労感でまったりしちゃう。
いつでも可愛くて明るい先輩は
キク子や
マシュマロみたいな女の子で、
ある意味、大晴くんに似てるかも。
どっちもキラキラして見えるから。
なんて、
つい大晴くんのこと考えてる自分に気づいて呆れた。
「……だめだよ、もう傷つけたくないのに」
明日、大晴くんになんて言えばいいんだろう。
どれだけ謝れば許してもらえるのかな。
いや、違う。
本当に考えてることは
どう謝ったら大晴くんに演劇部に残ってもらえるだろう、だ。
仲がいいままなんて烏滸がましいことは言わない。
だけど、本当に我が儘だけど演劇は辞めないでほしい。
それだけの魅力が彼にはあるから。
……もういっそこと、このまま距離を置くことが一番正解なのかも。
そしたら、私を嫌いになるだけで済むから。
―お前が悪いんやん！―
「……私が、全部わ」
トントン、
良「お嬢さん。
ボーっとしてたら危ないで？」
「……正門、」
振り返ったら困ったように眉を下げながら微笑む正門がいて、
咄嗟に目を逸らしてた。
私が何を考えてるか、正門にはすぐにバレてしまいそうだったから。
良「ひなちゃんとのデート楽しかった？」
「うん。元気をもらったような、吸い取られたような」
良「あはは(笑)
吸い取られちゃったらあかんやないの。
でも分かるわ、ひなちゃんとおる間は楽しいけど
別れた後にどっと疲れんねんな。
はしゃぎ疲れっちゅうんかなんちゅうか」
けらけら笑いながら
手に持ってたコンビニのビニール袋をしれっと持ってくれる正門。
良「あれ、おかずや思ってたけどちゃうかった。
今からスーパー寄るん？」
「うん。昨日けっこう使っちゃったから」
良「あー水炊き美味しかったもんなぁ。
〆の雑炊とかあれがメインや思ったし」
「ふふ、正門何でも美味しいって言うから信用できないんだよなぁ」
良「えぇやん！
美味いもんに美味い言うんは当たり前やろ。
ぜーんぶ美味しく作る結城が悪い」
「そう？じゃあ、きっと私が全部」
良「ウソ。結城は何も悪ないで？
……そうやろ？」
あぁ、やっぱり正門には全部お見通しだったみたい。
「……うん。ありがとう、正門」
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作者名：マリア | 作成日時：2023年12月1日 22時
