◆〇それでいてズルくて、弱虫。 ページ35
・side.Yoshinori
prrr prrr
「はいはぁい……ってあら、珍し」
おてんとさんがおやすみした頃に
同期らとのドライブから帰ってきて、
軽くシャワーを浴びて部屋に戻ったら
珍しい人から電話がかかってきたから
一瞬悩んで、電話に出た。
「もしもぉし。久しぶりやなぁ、
眞『あ、出た。無視されるかと思ったのに』
「そんな酷いことせぇへんよ(笑)
ちょうどシャワーあがったとこやったからバタバタしててん」
眞『あぁ、日本はもう夜だものね。
こっちは今から登校だけど』
「へぇ、まなっさんは今から1日が始まるんやなぁ。
ほんで？そんな朝の忙しい時間に何かご用？」
眞『なに？用がないとかけちゃいけないの？』
「えぇ？そんなん別にないよ。
正門の声が素敵な朝のお供になるなら喜んでお相手しますよ？」
眞『……相変わらず元気そうで安心したわ、正門君』
「そらどーも」
電話越しに息を吐く音を聞きながら
ベッドにぽすっと腰を下ろす。
ちょっと部屋散らかり気味やなぁ。
まなっさんと何でもない話しながらそんなことが気になりだす。
ひとり暮らしやとついサボってまうもんなぁ。
この前人来たんいつやっけ？
……あ、せやせや。
俺が風邪引いて結城が看病に来てくれた時やん。
確かあれって大晴の誕生日やったよな？
もうそんな経つん？
割と人には会うてるはずやけど
だいたいは外で会うばっかりで、
家に来るんは大吾とか、ちょっと前までは結城もよぉ来てたけど、
眞『正門君？聞いてた？』
「え？……あぁ、ごめん。ちょっと部屋散らかってんなぁ思うて」
いぶかしげなまなっさんの声が聞こえてきて
慌てて意識を電話に向ける。
眞『正門君ってさ、意外と分かりやすいよね』
「そう？俺は別に思うてないけど、
周りからは割とポーカーフェイスやって言われんで？」
眞『まぁ、口先だけ、身体だけで付き合ってる関係の子には
そう思われてるのかも知れないけど』
「相変わらずストレートに仰いますねぇ、お嬢さん」
まなっさんのそういうとこは俺にはないからおもろいとは思うけど、
その後の言葉をちょっとだけ構えてまう。
眞『ふん、心中する役するくらいは一緒にいるからね。
分かるわ。
あ、今こっちに集中してないなって』
「……それは失礼しました？」
眞『受け止めてほしい相手がいるくせに、
そうやって逃げてたら
いつか本当に刺されるよ？』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 238人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マリア | 作成日時：2023年12月1日 22時
