◆〇曖昧で、ワガママ。 ページ33
・side.Yuki
菊「えっ？右？右！？」
織「だから右だって(笑)」
菊「もーっ！右折嫌い！」
戸「おぉ、勢いで行った」
榛「さてはイキったな？」
菊「はぁ！？全然イキってへんから！」
運転席と2列目の賑やかな言い争いを聞きながら
外を流れる小春日和の景色を眺める。
「いい天気……」
良「ほんまやなぁ、えぇドライブ日和や」
隣に座ってる正門ののんびりした声が
今日の天気みたいで
ふわりと眠気を誘ってくる。
良「眠いん？」
「ちょっとだけね。昨日、楽しみで眠れなかったから」
良「はは、遠足前の子どもみたいな事言うて(笑)
えぇよ、肩貸すから寝とき？」
「うーん、お言葉に甘えたいけどそれは難しいかも」
良「え、なんで」
織「あ、すまんキク子通り過ぎた」
菊「はぁぁ！？信っじられへん！
戸「菊好に叩かれたくないからパスで」
織「おい、俺なら叩かれていいとかないからな」
「……ね？」
良「ははっ、確かに寝るには騒がしいBGMやな(笑)」
へにょんと眉を下げて困り気味に正門が微笑む。
まぁ、2年会で久しぶりの遠出だし
寝る気はあまりなかったけどね？
ポロン、
全員の通知がほぼ同時に鳴る。
ということは送ってきたのは1人しかいなくて、
鳴「あ、眞鍋さんからや。
『無事生きて帰ってくることを祈ってる』やって、キク子ちゃん」
菊「もう！まなぁちゃんヒドい！」
織「これでもまっさんに運転させるよりは
遥かに事故率が低い計算だったんだけどな」
良「こら、一本道やったら俺でもイケるかも知らんやん！」
榛「何を根拠に(笑)
P入れたままアクセル踏んでたヤツが何言っても
絶対ハンドルは渡さないかんな？」
戸「本気で三途の川見えかけたよな」
良「なによぉ、みんなして寄ってたかって……」
唇を尖らせていじけてる正門には悪いけど、
運転に関しては本当に身の危険を感じたから
フォローのしようがなくて。
溜め息をつきながら肩に寄りかかってきた正門の頭を
せめてもの慰めで撫でてあげてたら
バックミラー越しにオリバーと目が合った。
「どうかした？オリバー」
織「いや、……別に」
菊「オリバーはナビに全集中！」
いつもの2割増しでキャンキャンしてるキク子に怒られて
オリバーの視線が外れる。
良「おぉ、こわぁ(笑)」
くすっと小声で呟く正門の声がすぐ近くに聞こえるのが
ちょっとだけくすぐったい。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年12月1日 22時
