キミに恋するワンシーン！第9章！ (ページ28)

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―何やねんお前ら！―

―神妙にお縄につけ！―

―え、何がどうなってるん！？―

どこに隠れてたの？ってくらい

色んなところからいっぱい人が出てきて

舞台の上はあっという間に大捕り物の現場に早変わり。

あっという間にお兄さん達は後ろ手にお縄スタイルで捕まったんだけど。

―おい！離せや！なんやねんお前ら！―

―規律委員会と学生審問会です。

　大人しくしてもらおうか、酒寄君―

『え、酒寄って……』

確か、正門先輩たちの同期だった人じゃ。

腕の中から正門先輩を見あげたら、

黙って一連の流れを見てた正門先輩が、私を抱きしめてた腕を離した。

良『エリーちゃん。

　ちょっと行ってくるから、ここでえぇ子にしててな？』

『は、はい』

訳も分からないまま頷いたら

正門先輩は「えぇ子やな」って頭を撫でて、

カーテン裏から舞台の上に出て行って。

良『……やっぱしアンタやったんやな、酒寄』

酒『それはこっちの台詞や。

　規律委員まで使いよってどういうつもりやねん、正門』

2，3人がかりで腕を押さえられながら

正門先輩を睨みつける酒寄さん。

まるでお芝居みたいなワンシーンに

胸がドキドキした。

良『どういうつもりって、

　そりゃ、演劇部(うち)に喧嘩ふっかけた犯人

　捕まえるために決まっとるやないの。

　動機が十分ってことでまず1アウト、

　次に監視カメラの映像やら証拠が揃って2アウト、

　最後に現行犯っちゅうことでもう言い逃れはできひん訳やけど。

　こんだけあれば器物損壊で立派に警察行けんで？

　それを内々に事を収めよう言うてるんやから

　むしろ感謝されたいくらいやんな』

酒『厚かましい顔しよって、正義のヒーロー気取りか。

　ほんまウザいやっちゃなぁ』

良『そらどうも。誉め言葉として貰っとくわ』

うぅ、キク子先輩から聞いた話でもいい印象はなかったのに

やっぱり直接見る酒寄さんも

あんまり好きになれそうな人ではないみたい。

カーテンの端を握りながら一触即発な舞台を見てたら

酒寄さんは馬鹿にした表情で「はっ」って鼻で嗤った。

酒『……ほんまムカつく男やな。

　俺は昔っからお前のその澄ました面大っ嫌いやねん。

　ぽやぽやしてるフリして腹ん中では何考えてるか分からへん。

　俺は騙されへんで？偽善者が。

　裏で女食いまくってるクセして、

　今回の件もどうせ結城へのえぇ恰好しぃなんやろ？

　なぁ、“王子サマ”？』

『え……、』