▼〇舞台裏の現実-Blue ページ27
・
健「もっしもっしエリー♪エリーちゃん？」
「ん、なにっ、ひゃぁぁ！」
昼下がりの部室の机に突っ伏してたはずのこじけんくんが
気づいたら目の前にいるから
ビックリついでに椅子から落ちかけた。
健「うぉっ、ったく危なっかしぃのぉ。気ぃ付けや？」
「ごめんなさい……」
いや、今のはこじけんくんも悪いような気が。
というかすっごく今更だけど
こじけんくんって距離感近い、よね……？
いやいや、それはまた今度考えるとして、
「なにかご用で？」
健「いや、さっきからボンヤリしてるから
なんか悩みでもあるんかなぁと」
「いや、えっと、悩んでるってほどでもないんだけど……、」
そろそろとこじけんくんから離れながらそう言ったら
「ほぉ？」って目を細めながら
またぐいって綺麗なお顔をドアップに近づけてくるから、
「ひゃぁ、ち、ちか、」
健「さてはまっさんか？」
「……はい、」
カクカク頷いたら、満足そうに離れていってくれた。
よかった、慣れてはきたけどやっぱりドキドキするもん。
健「なるほどなぁ。
ほんなら、このスパダリイケメン小島さんが相談乗ったるで？」
「え、えっと……」
すっごいドヤ顔なのは気になるけど、
こじけんくんなら
私がグルグルしてることを解決してくれる予感がして、
改まって顔を合わせたらふぅ、と深呼吸をした。
「……学祭公演の千秋楽の事なんだけど、」
・
あの日の朝、正門先輩の「付き合って？」に頷いたら、
すぐにカーテン裏に引っ張り込まれて。
正門先輩に肩を抱かれてドキドキする間もなく、
知らない人がいっぱい入って来たから
なにごと？って息を殺して見てたら、
―くっそ、綺麗に直しやがって。
おい、もう一度やんで！―
―おぉ！！―
『え、』
“もう一度”って？
もしかして、この人達が、
良『……おん、もうちょい待って。
実際になんかやらんと現行犯にならへんから。
うん、タイミングは任せる』
ひそひそ誰かと話してる正門先輩の耳には
よく見たらスパイみたいなインカムがついてた。
あれ？って違和感を感じたのも束の間、
お兄さん達が、昨日みんなで直したいちご姫のドレスを持って、
―こんなもんっ！―
『だ、だめっ！』
お願い、そのドレスはやめて！
飛び出そうとした身体を正門先輩に後ろから抱き留められて、
良『落ち着いて、大丈夫やから』
『でもっ、』
―今や！かかれぇ！―
『……えっ、』
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作者名：マリア | 作成日時：2023年12月1日 22時
