キミに恋するワンシーン！第9章！ (ページ26)

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〇霜降る月夜は少しだけ夜更かしを-Yellow ページ26

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リチャ君やっほー、

それだけのかわいいLINEが届いたのは、

0時を少し過ぎたちょっと寒い夜のこと。

今日は演劇部の同期さん達とお疲れ様会って言ってたけど

もしかして今帰ってるのかな？

そんな推理をしながらベッドに寝転がって返信を返す。

きよかやっほー、肌寒いね。外は冷えてない?

リチャ君ちょっとさむい

ほら、やっぱり当たってた。

大丈夫?寒くて凍えてない?

おさけのおかげでぎりあるける

「ふふっ、全部平仮名になってる……(笑)」

珍しい、けっこう酔っぱらってるのかも。

2人でお家で飲んでも私もリチャ君も割と強いし、

何回か勝負しようとしたけど

先にお酒を没収されて「清風、あかんで？」って叱られるから

そのノリを楽しんでるだけの時もあったりして。

そう言えば、最近リチャ君が酔ってるの見てないかも。

そう思ったら急にリチャ君をもっと感じたくなって

えいって通話ボタンを押してみた。

prrrr prrr……

リ『もしもし？どしたん、きよか』

電話越しのリチャ君の声は、いつもよりもっと優しい。

「ううん、酔っぱらってるリチャ君に電話したくなって」

リ『べつに、言うほどよってへんで？』

「そうなの？じゃあ切ろうかなぁ、」

リ『なんでよ(笑)よってへんかったら電話せんの？』

「リチャ君の夜の散歩の邪魔したくないし」

リ『……いややないよ？』

「本当？」

リ『うん、ってか俺ももうちょっと飲みたい気分やし』

「そうなんだ、」

お酒も人に合わせて飲むリチャ君が

そんなこと言うのは珍しくて、

それを私に言ってくれることに、ほんの少し期待しちゃって。

歩いてる足音だけが聞こえる沈黙を、

ドキドキしながら待つ。

リ『きよか、』

「ん？なに？」

リ『もう寝るん？』

「うーん、……1人だったら寝ちゃうかも」

リ『そうなんか』

「うん、」

リ『……ほんなら、2人やったら付き合ってくれるん？』

遠慮がちなお誘いの言葉だけで

眠気なんてとっくにどっかにいってるのにね。

「……うん、いいよ。

　梅酒のボトル抱っこして待ってる」

リ『はは、それかわえぇんか分からん(笑)』

「ひどい(笑)

　じゃあ気をつけて来てね？」

リ『おん、また後で』

通話が切れたのを確認して、よいしょっと起き上がる。

きっと話し足りないことがあるんだろうな。

今夜は少しだけ、夜更かしになりそう。