・ ページ21
・
良「……っちゅうことで、
このメンツで1年間演劇部を引っ張ってかなあかんから
みんなよろしく頼みます」
―はぁい、―
活動計画とか色々の話が終わったら、
誠也くんが「終わったん？」って近づいてきた。
誠「まぁ、俺も籍残すし何かあったら頼ってくれてえぇから。
『正門が怖いです』とか」
良「えぇ？(笑)
俺が怖かったこと一回もないやないですか、誠也くん」
誠「どぉやろうな、」
一瞬パチッと視線がぶつかったように見えたけど、
すぐに何でもない顔して2人は目を逸らして。
誠「よし、じゃあ役者と美術以外の顔合わせ始めんで。
全員移動しぃ」
軽く俺の肩を叩いてから離れてった誠也くん。
言葉にはせぇへんけど、
きっと『頑張りや』ってことなんやろうな。
「……っしゃ、」
もっかい気合い入れなおしたら、
役者組の席から離れて、“もう1個の所属”に移動する。
大「ユキさん、」
俺の声に振り返ったユキさんは
目をうるうるさして泣きそうな顔してた。
結「……大晴くん、」
「脚本の打ち合わせ始めましょ？
まぁ2人きりやしいつもと一緒やろうけど(笑)」
1個空けて隣の席に座ったら、
ユキさんの眉間にきゅっと皺が寄って。
結「……どうして、脚本に残ったの」
「え、あかんかったん？(笑)」
結「……正直、もう演劇部にも残ってくれないかもって思ってた」
思い詰めた表情でこっち見るから色々抑えられへん気持ちはあるけど
それは全部胸の底に押し殺して、
できるだけ無邪気に見えるように笑ってみせた。
「まぁ、確かに『触らんといて』って手ぇ払われたし、
『俺にだけは言いたない』とか寂しいこと言われましたけど(笑)
……でも、ユキさんのこと考えたらそうなるん当たり前よなって」
結「私の、こと……？」
・
学祭公演の打ち上げを抜け出した夜の公園で、
『……酒寄がやったん？』
健『そ。演劇部とユキさんへの嫌がらせやったんやって』
ブランコ漕ぎながら淡々と話してくれたこじけんの横で
俺のブランコは止まったまんま。
色々頭が追いついてへんくて。
自分を認めてくれへんかった演劇部への嫌がらせってのは分かったけど、
なんで、
『なんでそんなユキさんに執着してん？
脚本はすごかったかもしれへんけど、
ユキさんは恨まれるようなこと絶対してへんやん』
健『そら、酒寄某がユキさんのこと好きやったからやろ』
『え、……好き？』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 238人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マリア | 作成日時：2023年12月1日 22時
