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今日は代替わりで新しくなるセクションの初顔合わせで、
誠也くんから全員の所属の発表が終わったら
教室ん中が一気にざわざわした。
誠「ほんなら、まず役者と美術から打ち合わせ始めてくださーい」
健「よし、行こうやたいせー」
「……おん、」
健「なんやねん。まさかきんちょーしとるん？(笑)」
「きんちょーってか……、うん、」
ちらっと見つめる先には、
華奢なユキさんの背中。
みんなが移動してく中で1人動かへんその背中は
ちょっと寂しそうで、胸が詰まる。
健「……後ろめたさとかカッコ悪いで、大晴。
やるって決めたんやったら、本気でやれよ。
そういう自分を見せたいんやろ」
「こじけん……」
その言葉で、
心の隅で揺らいでた最後の迷いが吹っ切れた気がした。
―これは、新しい私に生まれ変わるためのチャンスだから！―
「……よし、行こ」
健「おう」
ちらちらとこっちを見てた役者組の輪っかに近づいてく。
まずが最初が肝心ってことで、
「今日から役者セクションに入ります福本大晴です！
精いっぱい頑張るんでよろしくお願いします！」
ガバッと深くお辞儀して頭をあげたら、
え？
なんかめっちゃニヤニヤしてんねんけど。
菊「え、ぶっちゃけ今更過ぎんねんけど(笑)
大晴まだ役者組やなかったん？」
織「ははっ、確かに『夏バケ』見てたから
どこかで大晴は役者組って思ってた節あるよなぁ(笑)」
阿「そんクセ『いや、俺は脚本やから』とか意地張ってん」
恩「阿南くんずっと『大晴はよ役者来いや！』って愚痴ってたもんね(笑)」
健「それ俺に当たるんだけやめてほしかったけどな」
『とうとうやなぁ』って歓迎してくれる先輩らに
ひとまず胸を撫でおろして、
それから、
俺らのやりとりを黙って見てたまっさんと目を合わせる。
良「……来たんやな、大晴」
「はい、」
良「なんで役者組に？」
「新しい自分になりたいから。
今までの俺のままじゃあかんって思ったから」
良「それは、誰のための決意なん？」
そう言ったまっさんの瞳が少しだけ揺れてるように見えた。
やから、俺はあえて胸を張って、
「自分のためやで。全部、」
きっとこれから追い抜きたい背中になる先輩をまっすぐ見つめる。
じっと見つめあった後、
先に目を逸らしたんはまっさんの方で。
良「……ほんま、眩しいやっちゃなぁ」
へにょんと眉をさげたら
何とも言えへん表情でまっさんが笑った。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年12月1日 22時
