・ ページ15
・
螢「はぁ、無事に片付け終わってよかったぁ(笑)
手伝ってくれてありがとうね？よっしー」
「ううん、気にしないで？
私ももう少しいたいなぁって思ってたから」
螢「ふふ、そうやね(笑)
あーぁ、寂しなるなぁ。
去年、部長もこんな気持ちやったんかな？」
「そうだね……」
秋文祭が終わったらロッカーを片付けて引き継ぎしてっていうのが
暗黙のルーティーンみたいになってたけど、
小島先輩は全然ロッカーの片づけに来てくれなくて。
いや、それは100歩譲っていいとして
大事な部長の仕事の引き継ぎもしてくれへんかったから
やり方聞きにしょっちゅう小島先輩の教室まで突撃してたっけ？
そのたんびにめっちゃニヤニヤしながら
「よっしー、俺に会いに来たん？」とか言って。
それに「仕事なんですよ！」ってツッコんで。
まぁ、ほんまは「しょうがないなぁ」って、
呆れたフリしながら廊下を走って小島先輩に会いに行くのを
楽しみにしてた自分もいたけど。
「……ふふ、」
螢「え、よっしーどうしたん？ニヤニヤして」
「ううん、……小島先輩のマネ」
キラキラした気持ちを思い出しながら
あの時走ってた廊下をほたるちゃんと2人で歩く。
螢「えぇなぁ、よっしーの恋は順調そうで。
うちの恋とは大違いやね(苦笑)」
小さく溜め息をつくほたるちゃんを見て
思い出した胸の痛み。
小島先輩が直接、福本先輩のことを話して謝ったんは聞いたけど
その話をほたるちゃんとするタイミングは今の今までなくって。
きっと今がその時なんやろうな、って覚悟を決めて
ほたるちゃんの方を向きなおった。
「……ほたるちゃん、ごめんなさい。
本当は水族館行った時に小島先輩から聞いてた。
福本先輩に好きな人がおるって。
やけど、ほたるちゃんが福本先輩のこと本気で好きなん知ってたから、
傷ついてほしくなくて、ずっと黙ってた。
……本当にごめんなさい」
深く頭をさげたら、ほたるちゃんの手にぎゅっと力が入ったのが見えた。
叩かれるかな。
殴られるかな。
それでも、私がやったことは変わらないから
それでほたるちゃんの悲しいのが癒えるなら受け止めなきゃ。
そう思って目をつぶったら、
ぽん、と肩に手が乗っかった。
螢「……もぉ、そんなん謝らんといてよよっしー(笑)
ほんまに真面目さんなんやから」
けらけら笑ってる声に顔をあげたら
ほたるちゃんはいつもみたいに笑ってた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 238人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マリア | 作成日時：2023年12月1日 22時
