〇おいしいものとはなにかしら？-Yellow ページ11
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いつも通りの金曜日の学食。
私の頼んだハヤシライスの前に並んだきつねうどんは
そろそろ湯気が消えちゃいそう。
頼んだ本人は真剣な顔して何かの書類を見てるし。
うどん伸びちゃってないかなぁ……なんて気になりながら
美味しくハヤシライスを食べてたら
ふっとリチャ君がこっちを向いた。
リ「めっちゃ美味しそうに食うよな、
「……ほれは、ほうも？」
リ「うん、話しかけるタイミングが悪かったなごめん」
だって大口開けてるタイミングでこっち向くんだもん。
しょうがないじゃない？って唇を尖らせて抗議したら、
「もぉごめんって」ってリチャ君が笑う。
「リチャ君ったら失礼しちゃうわ」
リ「なぁ、今日なんかテンションおかしない？
そんなんやったっけ？」
「リチャ君が書類と睨めっこしてるから
可哀そうなうどんの気持ちが乗り移ったのかも」
リ「えぇ？(笑)」
呆れた風に笑われても、
そんなリチャ君がかわいいから笑って返したら、
ふわってさっきとは違う柔らかい笑みを浮かべて持ってた書類を置いた。
リ「ならしゃーないわ。
うどんの生霊に成仏してもらわな清風とおしゃべりできひんから
うどんたーべよ」
「美味しく私のこと食べてね？」
リ「ぶほっ！！」
しなっぽい言い回しをしてみたら
100点満点のリアクションで水を吹きだしてる。
やーい、シャイボーイめ。
リ「……これは早よ成仏してもらわな、色々と危うい」
「ふふっ、早く食べて(笑)」
リ「いただきます！」
勢いよく手を合わせたと思ったら
すごいスピードでうどんを啜ってくリチャ君。
え、リチャ君ってこんなに早く食べられるんだ？
あまりの爆食ぶりにちょっとビックリしてたら、
残ってたきつねを箸で摘まんでリチャ君がこっちを見た。
リ「きつねさん、美味しくいただきますんで
どうぞお山にお帰りください。
清風が戻ってきたら、お仕置きしなあかんので」
「え、リチャ君待って、あっ」
リ「いただきまーす」
私の静止も虚しくあっという間にきつねさんは
リチャ君の口の中に消えていって。
“お仕置き”って言葉だけがやけにソワソワと残ってる。
リ「ごちそーさまでした。さて、行きますか？」
「え、……どこに？」
ちょっとだけ期待してるような上目遣いを見透かしたように
リチャ君はニヤリと微笑んで。
リ「“美味しいもん食べれるとこ”」
もう、イジワルなんてするもんじゃない。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年12月1日 22時
