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金曜日の朝は、起きた瞬間からなんか嫌な感じがして。
今日寒いなって、今年初卸しの革ジャン着てったら
大吾から「1人だけ季節先行ってるやん」って笑われたけど
正直、笑えんくらい身体がゾクゾクしたから
大吾にノート頼んで授業中ちょっと寝てた。
目が覚めたら授業はとっくに終わってて、
大「正門、さすがに寝過ぎちゃう？
ちゃんと寝れてへんの？」
って心配そうな顔されたから、
「大丈夫やって。あ、ノートのお礼にコーヒー奢るわ」
大「ええの？ほな有難く」
自販機のコーヒーで興味をそらして
逃げるように部室に行った。
あかんなぁ、
部活始まるまでちょっと休んどこって思うたけど部室に入った途端、
誠「あ、ごめん正門。
次の学祭公演でのOBの挨拶回りなんやけど、」
すぐ誠也くんに捕まってもうて
結局話終わったらそんまま稽古が始まって
どんどん具合は悪なってく一方。
誠「よし、ほんなら今日はここまでにしよか。
来週から部分通し始めるから、分からんとこあったら共有しとけよ」
―はぁい！―
みんなの声が頭にガンガン響く。
うわ、これほんまにヤバいかも。
冷や汗かきながらぼんやり帰り準備してたら
隣にすっとスポドリのペットボトルが置かれた。
だれ？って振り返ったら、こじけんが呆れた顔で立ってて。
健「……阿呆ちゃう？まっさん」
「……なにがよ」
健「分かってるやろ。ほら、さっさと行くで」
俺の荷物を横取りしたらさっさと歩いてくから
その後をふらふら追いかける。
階段降りようとしたら、視界がぐにゃって歪んで
「あ、」
健「っとぉ、ほら。ちゃんと腕掴みや？」
「……ありがとぉ、」
こじけんに支えられながらなんとか階段降りて
ぐったりしてる俺の隣で問答無用でタクシー呼んだら
近くの売店でなんか色々買うて戻ってきた。
健「はい、ゼリーやらなんやら。
食べれそうなら食べて寝とき」
「なんで、分かったん？」
健「いや、分かりやす過ぎるやろ。
逆になんで休まへんのか分からんわ」
「……なんでやろうな、」
健「とにかく、土日しっかり休んで体調治して。
リハ前に穴開けるんイヤやろ？」
「それは、いや」
健「なら尚更」
裏門近くに停めたタクシーに押し込まれたら
心配そうな顔してるこじけんに手を振って、家の近くまで送ってもらう。
ふらふらした足取りでアパートに帰ったら
緊張の糸が解けたんか、ぷつりと意識が切れた。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年11月4日 1時
