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螢「ひゃぁ、広い……！ここ、ほんまに大学なん？」
「すごい……、」
そこそこの大会ならできるくらい広いホールの真ん前、
まだ照明が半分くらいしかついてない舞台の上に
演劇部の人達が集まってる。
健「お待たせしましたぁ、小島いっちょう！」
―遅いねん、はよ円陣入れ―
小島先輩を軽く叩いた先輩と笑ってる部員の皆さん全員が
しっかり肩を組んで円陣を組んだ。
しん、と空気が張る束の間の緊張感。
―いよいよ初日です。全員、準備できてんのか？―
―おぉぉい！―
小島先輩を叩いた先輩がニヤッと笑った。
―1年生、準備できてんのか！―
―おぉぉい！！―
さっきより気合いのこもった声が響いて、ホールの熱が高まってく。
―これがお前らの初舞台や。
最高に楽しんで、派手にかましたれ。えぇな？―
―おぉぉい！！―
―おっけ。ほんなら全員気ぃ引き締めていきましょう。
掛け声は……じゃあ小島！いったれ！―
健「よっしゃぁぁ！」
小島先輩の声を聞いた瞬間、懐かしい興奮でドクッ！と心拍数があがった。
健「サイコーの舞台にする準備はできてますかぁっ？」
―おぉい！―
健「まだまだ足りてへんちゃうん？」
―おおぉい！―
健「俺らの初舞台なんでもっとあげてもらってえぇっすか先輩方！」
―おぉぉい！！―
健「1年！」
―おおぉいっ！―
健「全員！！」
―おぉぉいっ！！―
健「しゃあ、初日から余力0で全力のお芝居ぶっかましましょう！
『夏バケ』行くぞーっ！！」
―おぉぉぉぉぉっ！！！―
ホールの空気がビリビリ震えるくらい気合いが入った円陣に
扉を閉じた手が汗をかいてた。
顔を合わせたほたるちゃんも興奮で瞳がギラギラしてて、
螢「……やっぱえぇよね、円陣って」
「うん、」
螢「うちらも本番前にやるけどさ、
やっぱし部長の掛け声好きやったなぁ。
めっちゃ気合い入るもん」
「うん、……私も」
去年の円陣がすぐよみがえってくる。
「部長の隣は副部長やろ」とか言うから
私はいっつも小島先輩の隣で。
気合いでギラついた横顔も、
「行くぞ！」って最後に言う時に
肩に置いてる手にぐっ！って力が入るのも、
大好きだったな。
そんなことを思い出してたら、
正門先輩と結城先輩が受付に戻ってきて
少しずつ人が集まりだす。
螢「人気なんやね」
「そうだね、」
1番乗りの特等席に座りながら話す声はどこか誇らしくて。
開演まで、あと15分。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月22日 2時
