〇もっと、近くにいて？-Orange ページ47
・
トントン、
「あ、やっぱおった」
結「あれ、大晴くんどうしたの？」
主役4人組で決起集会とか言うて学食で飯食った帰り、
部室にまだ電気がついてるんが見えて、
もしかしたらって来てみたら、
思った通りの恰好で、ユキさんがパソコンから顔をあげたところやった。
「どうしたのちゃいますって、帰りますよ？」
結「え、あ、ちょっと待って今いいところで」
「えぇ所でもなんでも、もう9時前やで？」
結「え、あらら……。夢中になってたかな」
部室のかけ時計見て、ユキさんが瞬きしてる。
もう、ほんまにこの人集中しだしたら何も目に入らへんからなぁ。
昨日今日って空き時間に作業した時に知った癖に
さも、しょうがないなぁ顔で
ユキさんを見てみる。
そんな俺の視線に気づいて、ユキさんはそっと目線を逸らして。
結「……だって、いいところだったんだもん。
だから、ね？」
「もう少し、でしょ？」
結「……はい、」
「はぁ……、じゃあ30分だけですよ」
隣の椅子に、背もたれ前にして座りこんだら
ユキさんが「え、」って驚いてる。
結「いや、大晴くん明日本番でしょ？
早く帰らないと、」
「俺やってはよ帰りたいっすよ。
けど、巽先輩からも誠也くんからも
『ユキの見張り頼んだ』って、頼まれてるんで」
結「そ、れは……申し訳ないけど、」
「ユキさん、ほんま俺がいぃひんと無理ばっかするやん。
やから、見張ってます。
30分経ったら引きずって帰りますからね」
有無も言わせへん意地悪でそう言うたら、
目の前の綺麗な顔が、ほんまかわえぇくらいしおらしくなって。
結「……頑張ります、」
「はい、えぇ子です、」
しゃあないから、ふざけたフリして前髪をぽんぽんって撫でてもうた。
ほんまにかわえぇなぁ……、
スイッチが入ったんか真剣にパソコンに向かう横顔を
背もたれに腕乗っけて見てたら、
気持ちよぅなってきて、少し、目を閉じた。
・
ふわふわ
頭がぼんやりする、気持ちえぇなぁ。
ぽん、ぽん
ん？誰か俺の髪の毛触ってる……？
くすぐったいなぁ。
―起きて、……起きて、―
あ、この声。
大好きな声。
好きな人の輪郭が形作られて一気に意識が戻ってくる。
「んん、ん……」
結「よく寝てたね、おはよ」
「おはよぉって時間ちゃう……(笑)」
結「ふふ、そうだね(笑)でもおはよ、大晴くん」
時計を見たら9時半ピッタリで、
パソコンはもう閉じられてた。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月12日 22時
